「通信制に進んだことを後悔しているんじゃないか」「全日制に行けばよかったと思っているのではないか」——CLCでメンタリングをしていると、通信制高校に在籍している生徒さんから、そんな不安の声を聞くことがあります。でも、私は毎回こう伝えています。「通信制を選んだことは、あなたのキャリアにとって大きな強みになり得る」と。今回は、なぜそう言えるのかを、マルチキャリア時代という視点も交えながら解説したいと思います。
通信制高校を「選ぶ」ということの本当の意味
通信制高校を選ぶ理由は人それぞれです。不登校をきっかけに、体調面の事情で、スポーツや芸術活動との両立のために、あるいは「全日制の環境が自分には合わない」という純粋な判断から——。その動機がどこにあれ、共通して言えることがあります。それは、「自分で選択した」という事実です。
多くの人は、進路選択をある意味「流れに乗る」ことで行います。中学を卒業したから高校へ、高校を卒業したから大学へ、という具合に、周囲と同じルートを歩むことが「普通」とされてきました。しかし通信制高校を選んだあなたは、その「流れ」から一度立ち止まり、自分にとって何が合っているかを考えて選択をしています。これは、多くの同世代がまだ経験していない「能動的な進路選択」の経験です。
もちろん、「選択せざるを得なかった」という状況もあるでしょう。しかし、そうした状況の中で新しい環境を模索し、今ここで学び続けているという事実は、十分に誇れる力を示しています。
マルチキャリア時代に求められる「自分軸」の持ち方
今の時代、「一社に長く勤める」「ひとつの職業を一生続ける」というキャリアモデルは崩れつつあります。副業・フリーランス・起業・転職・海外移住・社会人留学——選択肢は飛躍的に増え、同時に「どう生きるか」を自分で設計する必要性も高まっています。これが、よく言われる「マルチキャリア時代」です。
このような時代に最も必要とされる力は何でしょうか。私は「自分軸」の力だと考えています。自分軸とは、「自分は何を大切にしているか」「自分はどんな環境でいちばん力を発揮できるか」「自分が本当にやりたいことは何か」——こうした問いに、自分なりの答えを持っていることです。
全日制の高校では、決められたカリキュラムと時間割の中で3年間を過ごします。それはそれで大切な経験ですが、「自分軸」を問われる機会はあまり多くありません。一方で通信制高校では、登校日数の少なさゆえに、自分で時間を管理し、自分で学習計画を立て、自分で行動する必要があります。これは一見「不自由」に見えて、実は「自分軸を育てる絶好の環境」とも言えるのです。
通信制高校だからこそ磨ける3つの力
私がメンタリングを通じて感じることは、通信制高校の生徒さんは、次の3つの力を持ちやすいということです。
① 自己管理力
誰かに管理されることなく、自分で登校日や提出物・学習スケジュールを組む経験は、社会に出てからも直結する力です。フリーランスや起業家に求められる「自律的に動く力」は、まさにこれです。通信制で「なんとなく過ごしてきた」と言う生徒さんでも、実は意外な場面で自己管理が機能していることがよくあります。
② 多様な価値観への理解
通信制高校には、さまざまな事情や背景を持った生徒が集まります。スポーツ選手、芸能活動をしている人、仕事をしながら学ぶ社会人、不登校を経験した人——多様な人々と関わることで、「自分とは違う生き方がある」という感覚が自然に身につきます。これはグローバル化・多様化が進む現代社会において、非常に重要な素養です。
③ 「なぜ」を考える習慣
通信制を選んだことで、「なぜ自分はここにいるのか」「自分には何が向いているのか」という問いを持った経験のある生徒さんは多いです。この「なぜ」を考える習慣は、キャリアにおける意思決定に直結します。就職活動でも起業でも、「自分はなぜこれをしたいのか」を語れる人は圧倒的に強いのです。
「なぜ通信制を選んだのか」を語れることが強みになる
面接や自己PRの場で「なぜ通信制に進んだのですか?」と聞かれることを、多くの生徒さんは恐れています。しかし、それはチャンスです。多くの就活生が語る「部活動で学んだこと」「大学のゼミでの経験」と違い、あなたのストーリーはオリジナルです。
「通信制を選んだのは、○○という理由で。その環境の中で、私は△△を学び、□□という力を身につけました」——こう語れるとき、あなたの選択は「マイナスな過去」ではなく「自分を形作った経験」に変わります。
CLCでは、生徒一人ひとりが自分の進路を言語化し、納得のいく選択ができるよう、丁寧にサポートしています。通信制高校から大学進学を目指す人も、高卒認定の取得を考えている人も、まだ進路が決まっていない人も、ぜひ一度話してみてください。あなたの「選んだ理由」は、必ずキャリアの出発点になります。