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永田 敦美(Atsumi Nagata)
Career Mentor|キャリア設計・進路相談

「将来何をしたいかわからない」「やりたいことが見つからない」――。CLCで進路相談を受けていると、こうした言葉を口にする生徒さんに、毎週のように出会います。高校に行かなかった、通信制に転校した、高卒認定を目指している。そういった「非・一般的なルート」を歩んできた人ほど、この悩みを深く抱えている印象があります。でも、断言できます。「将来がわからない」のは、あなたが特別に迷子なのではなく、まだ出会っていないだけです。今回は、進路の見つけ方を具体的なステップとともにお伝えします。

「やりたいことがわからない」は普通のこと

まず最初に伝えたいのは、「やりたいことがない=問題がある」わけではない、ということです。日本の進路指導は「将来の夢を持ちなさい」という文化が根強くあります。でも、10代のうちに明確な夢を持っている人は、実はほんの一部です。

相談に来る生徒さんの中には、「自分だけやりたいことが見えていなくて、恥ずかしい」と言う人もいます。でも周りを見回してみてください。夢を語っているように見える友人も、多くは「なんとなくかっこいい」「親に勧められた」という理由で言っていることが多い。本当の意味での「確信ある夢」を持っている10代は稀です。

だから、「やりたいことが見つかってから動こう」と待つのは逆効果です。動きながら見つけるのが、進路の本来の姿です。

まず「好き・嫌い」より「苦にならないこと」を探す

進路相談でよく起こる誤解のひとつが、「好きなことを仕事にしよう」という言葉の受け取り方です。「好きなこと=趣味」と直結させてしまうと、「ゲームが好きだからゲームクリエイターになりたい」という結論に飛びがちです。しかし実際は、ゲームを作る仕事には、プログラミング、デザイン、マーケティング、プロジェクト管理など、さまざまな要素が含まれます。

私が進路相談で使うのは、「苦にならないこと」を探す質問です。具体的にはこう聞きます。

「ずっとやっていても、あまり疲れを感じないことは何ですか?」

たとえば、「人と話すのが苦じゃない」「調べることが苦じゃない」「手を動かして何か作るのが苦じゃない」など。これは「好き」ほど強くないけれど、持続できる力の源泉になります。仕事の多くの時間は「好きなこと」ではなく「苦にならないこと」で構成されています。そこを見つけることが、現実的な進路探しの第一歩です。

進路を絞り込む3つのステップ

「苦にならないこと」が見えてきたら、次のステップで進路を具体化していきます。

ステップ1:「苦にならないこと」を3〜5個書き出す
思いつくままでOKです。「話すこと」「デジタル機器を触ること」「人の役に立てていると感じること」など。抽象的でも大丈夫。まず言語化することが大切です。

ステップ2:それが活きる「職種・分野」をマッピングする
書き出した特徴と、世の中の仕事を照らし合わせます。「話すこと・人の役に立てること」なら、営業、カウンセラー、教育、接客業、コーチングなど幅広い分野が候補になります。インターネットで「〇〇が好きな人 仕事」と検索するだけでも、思いがけない職種に出会えます。

ステップ3:気になる職種・分野を1つ選んで「体験」する
完璧な答えを出すより、体験して感じることの方が何倍も情報が多い。アルバイト、インターン、ボランティア、SNSで現場の人に話を聞く――方法はいくらでもあります。CLCでもメンターを通じて様々な社会人の話を聞く機会を作っています。

この3ステップは、「答えを出す」ためではなく「方向を少し絞る」ためのものです。一度決めたら変えてはいけない、なんてことはありません。

迷ったままでも動ける「暫定進路」の考え方

進路相談でよく出る言葉があります。「もっと確信が持てたら動きます」。でも、確信は動いた後にしかやってきません。これは逆説ではなく、経験として多くの人が証言していることです。

私が勧めているのは「暫定進路」という考え方です。「これが絶対の正解だ」ではなく、「今の自分には、これが一番しっくりくる方向」として、まず1〜2年の目標を設定する。高卒認定を取って大学進学を目指す、特定の職種を目標にスキルを身につける、まず働いて社会を知る。どれも「暫定」でかまいません。

暫定進路のメリットは、迷っていても動けること。そして動くことで、自分の感覚がどんどん明確になっていくことです。相談に来た生徒が、半年後に「あのとき動いてよかった」と言ってくれる瞬間が、私にとって一番やりがいを感じる瞬間です。

「将来がわからない」ことは、出発点であって、ゴールではありません。CLCには、あなたの「暫定進路」を一緒に考えてくれるメンターがいます。まず話してみることから始めてみてください。