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狩野 博司(Hiroshi Karino)
Career Mentor|経営・ビジネスネットワーク

「社会人になったら人脈を作れ」——よく聞く言葉ですが、いざ実践しようとすると「何から始めればいいかわからない」「名刺を配り歩くのが苦手」と感じる若者は多いのではないでしょうか。私はこれまで経営者として、そしてキャリアメンターとして多くの若者と関わってきましたが、人脈づくりに行き詰まる人の多くは「人脈」の定義を間違えていると感じています。この記事では、無理なく本物のビジネスネットワークを築くための思考法と実践ステップをお伝えします。

「人脈」という言葉への誤解を解く

多くの人が「人脈を作る=たくさんの人と知り合う」と思っています。しかし、これは大きな誤解です。SNSのフォロワー数が多くても、名刺の束を持っていても、それだけでは本物のネットワークとは言えません。

本物のビジネスネットワークとは、「必要なときに連絡できて、相手も喜んで応じてくれる関係の総体」です。これは量ではなく、質と信頼の積み重ねによってのみ生まれます。

私が若い頃に師事した経営者は「本当に頼れる人間は10人いれば十分だ」と話していました。最初はピンとこなかったのですが、今では深くその言葉の意味を理解しています。10人の深い関係が、その10人それぞれのネットワークへのアクセスをもたらしてくれるからです。まず「広げる」より「深める」という発想の転換が、ネットワーキングの第一歩です。

質の高いネットワークを築く3つの原則

長年の経験から、質の高いビジネスネットワークには共通する3つの原則があると気づきました。

原則1:先に与える(Give First)
人脈作りで失敗する人の多くは、「自分が何かを得たい」という姿勢で人と接します。しかしこれでは相手に下心を感じさせてしまいます。代わりに「自分に何ができるか」を考える習慣を持ちましょう。情報を共有する、紹介をする、困っているときに手を貸す——小さな「Give」の積み重ねが、長期的な信頼関係を育てます。

原則2:共通の目的を持つ人と繋がる
単に「すごい人」「有名人」と繋がろうとするのではなく、自分と同じ方向を向いている人、共通の課題意識を持つ人を大切にしましょう。起業を目指しているなら起業志望の仲間、教育に関心があるなら教育分野の人——同じ「旅路」を歩む仲間との繋がりは、時間をかけて互いにとって大きな力になります。

原則3:継続的に存在を示す
一度会ったきりの関係は、時間とともに薄れていきます。定期的に近況を共有したり、相手の活動に関心を示したりすることが重要です。SNSで相手の投稿にコメントするだけでも、「あなたのことを気にかけている」というメッセージになります。継続性こそが、関係を「知人」から「仲間」へと育てます。

若者が今すぐできる実践ステップ

理論はわかっても「具体的に何をすればいいか」が難しいですよね。以下に、若者でも今日から始められるステップを紹介します。

ステップ1:身近なコミュニティに積極参加する
まずは自分が興味を持てる分野の勉強会、ワークショップ、ボランティアに参加しましょう。CLCのようなコミュニティもその一つです。「参加するだけ」ではなく、積極的に発言したり、終了後に話しかけたりすることで記憶に残る存在になれます。

ステップ2:学んだことをアウトプットする
SNSやブログで自分の考えや学びを発信しましょう。「まだ若いから」「まだ実績がないから」と躊躇する必要はありません。真剣に学び、考えていることを示すだけで、同じ関心を持つ人が集まってきます。アウトプットは自分のブランドを作る最も効率的な方法です。

ステップ3:1対1の時間を大切にする
セミナーやイベントで気になった人がいたら、「もう少し詳しくお話を聞かせてください」と個別に時間をもらいましょう。コーヒー1杯の会話が、深い関係の出発点になることは珍しくありません。最初は緊張するかもしれませんが、誠実に相手の話を聞く姿勢があれば必ず伝わります。

ステップ4:OBOGや先輩に話を聞きに行く
学校のOBOG訪問制度や、知人の紹介を活用して、自分が目指す分野で働いている先輩の話を聞きましょう。多くの社会人は、真剣に学ぼうとしている若者の相談には喜んで応じてくれます。「話を聞かせてもらう」という姿勢は、相手にとっても気持ちのよいものです。

長期的に関係を育てるために

ビジネスネットワークは、一朝一夕には築けません。しかし、正しい姿勢で継続すれば、必ず豊かな関係の輪が広がっていきます。

私がメンタリングの中でよく伝えることの一つは、「関係を管理しすぎない」ということです。人間関係はデータベースではありません。相手を「有用かどうか」で分類し始めると、それは相手に伝わり、関係は表面的なものにとどまります。

本当に大切なのは、相手を一人の人間として尊重し、長期的な視点で関わり続けることです。10年後、20年後を見据えたとき、今の自分の関わり方が問われます。若いうちから「Give First」の姿勢で誠実に人と向き合っていれば、それがいつか大きな信頼となって返ってきます。

CLCでは、若者が本物のビジネスネットワークを築くためのサポートもおこなっています。経営者や専門家との対話の場を提供していますので、ぜひ一歩を踏み出してみてください。あなたの未来を豊かにするネットワークは、今日の一つの勇気から始まります。