高校に行かずに事業を始めた10代は、いま増えている
「高校に行かず、自分で事業を始めた」と聞くと、ひと昔前なら例外中の例外として扱われていました。しかしこの数年、SNS発の小さな物販、ライブ配信、デザイン受託、コミュニティ運営など、10代が事業主として活動するケースは静かに、しかし確実に増えています。中学卒業のタイミングで進学を選ばず、フリーランスや個人事業主として確定申告をする15〜18歳の若者を、私自身も毎年複数人見るようになりました。
背景にあるのは、スマホ1台で売上を立てられる時代の到来と、コロナ禍以降に広がった「学校以外の学び」への寛容さです。文部科学省の調査でも、不登校の小中学生は10年連続で増加し、令和の段階で30万人を超えています。学校に行かないことを選ぶ子どもが増えれば、その先の進路として「学校以外で何かを始めたい」という子どもが出てくるのは自然な流れです。
私は普段、経営者の集まりであるBNIやCorporate Connectionsの運営に関わりながら、20〜60代の事業主と日々向き合っています。そのなかで10代の挑戦者に会うとき、いつも感じるのは「彼らは進路の組み立て方そのものが違う」という事実です。本記事では、私が経営者目線で見てきた10代起業家のリアルと、そこから逆算した進路設計のヒントを共有します。
10代起業家に共通する「進路の組み立て方」3つの特徴
10代で事業を始めた若者を観察すると、進路設計の組み立て方にいくつかの共通点があります。私が見てきた範囲では、主に3つの傾向が浮かびます。
① 「何のために学ぶか」を先に決めている。多くの高校生は「とりあえず偏差値の高い大学」「とりあえず指定校」と進路を決めますが、10代起業家は逆です。先に「やりたい事業」「会いたい大人」「行きたい市場」を決め、そこから逆算して必要な学習や資格を選びます。学びは目的ではなく手段、という発想が徹底しています。
② 時間の使い方が経営者と同じ。彼らは1日24時間を「学習」「実践」「人に会う」の3カテゴリで配分し、週単位で見直しています。これは中小企業の経営者が普段やっている時間管理と全く同じ構造です。通学に往復2〜3時間取られる従来型の高校生活と比べると、可処分時間の差は年間で数百時間規模になります。
③ 早い段階で「大人の輪」に入る。10代起業家のほとんどは、同年代だけのコミュニティに閉じこもらず、20代後半〜50代の事業主と継続的に関わる場所を持っています。彼らは「年齢を超えて学べる相手」を意図的に探しに行っており、これが事業の成長スピードを大きく変えています。CLCがaboutページやmembersで紹介している通り、私たちはこの「世代を超えたコミュニティ」を意図的に設計しています。
高卒認定を選ぶ理由は「逃げ」ではなく「最短ルート」
10代起業家の多くは、結果的に高卒認定試験を活用しています。これは「高校に行けないから仕方なく」ではなく、「事業に時間を投下したいから合理的に」選ぶケースが圧倒的に多い、という点が見過ごせません。
高卒認定は文部科学省が実施する国家試験で、合格すれば大学受験資格・短大・専門学校・国家資格受験の多くで「高卒同等」と扱われます。年2回の試験で、最短16歳から受験可能。8〜10科目を分割合格できるため、自分のペースで進められます。1日4〜6時間を事業に使いたい高校生にとって、登校が必須の全日制よりも明らかに自由度が高い選択肢です。
私が以前話を聞いた17歳の起業家は、「高2の時点で高卒認定を取得し、空いた時間で月商100万円規模のECを動かしている」と話してくれました。彼の進路には、大学進学・海外留学・事業継続という複数の選択肢が同時に開かれている状態です。この「将来の選択肢を狭めずに、今の時間を最大化する」発想こそが、10代起業家の進路設計の核心です。なお、高卒認定の制度や費用は保護者が知らない高卒認定の真実でも詳しく解説しています。
経営者の視点で見ると、10代の挑戦には3つの落とし穴がある
一方で、10代起業家を経営者として観察すると、共通して直面する落とし穴が3つあります。これは進路設計の段階で意識しておくと、回避できるものばかりです。
落とし穴①:キャッシュフローと税務の理解不足。月商と利益を混同し、税金や社会保険を考慮せずに事業を拡大してしまうケースが少なくありません。10代でも年間48万円を超える所得があれば確定申告が必要になります。私が見てきたなかで一番多いトラブルは、無申告のまま事業を続け、後年まとまった追徴課税が来るというパターンです。早い段階で税理士・行政書士に相談する、家計と事業を分ける、この2点だけでも大きく変わります。
落とし穴②:相談相手の偏り。SNS上のインフルエンサーや同世代の起業家だけを見ていると、判断のサンプルサイズが小さくなります。10代の挑戦には「失敗を経験した大人」「業界の慣行を知る大人」「家族の代弁者になれる大人」の3者が必要です。私自身がBNIで強調しているのも、この「世代と立場を超えた相談ネットワーク」の重要性です。
落とし穴③:学習空白。事業に没頭するあまり、数学・英語・国語といった基礎学力の更新が止まる時期があります。後年「大学進学に切り替えたい」「海外でビジネスを広げたい」と思ったとき、この空白が機会を奪います。事業と並行して、週に数時間でも基礎学習を続けておくのが鉄則です。CLCの進学コースはまさにこの「事業と学習の両立」を前提に設計されています。
起業の道を選んでも、進路の「保険」は必ず用意しておく
10代起業家のロールモデルが増えたことで、「高校に行かず事業を選ぶ」選択肢は確実に現実的になりました。ただし、私が経営者として伝えたいのは「進路には保険を持っておくこと」という1点です。事業はうまくいく時もあれば、市場が変わってピボットを迫られる時もあります。そのときに「進学」「留学」「就職」というカードを持っているかどうかが、その後の人生の柔軟性を決めます。
具体的には、(1) 高卒認定の取得、(2) 英語の運用能力(最低でも英検2級〜準1級レベル)、(3) 基礎的な数学・読解力、(4) 信頼できる大人ネットワーク——この4つを20歳までに揃えておくことを推奨しています。これらは事業の成功確率を上げると同時に、もし事業を一度畳むことになっても「次の道」をすぐに選び直せる土台になります。
CLCでは、起業を選ぶ10代向けに起業コースを、進学と事業を両立したい10代向けに進学コースを用意しています。詳しいサービス内容はサービス概要をご覧ください。「自分はどちらに近いのか分からない」という段階であっても、まずは話を聞かせていただければ、進路設計の選択肢を一緒に整理できます。
進路相談・LINE相談は無料で受け付けています。10代本人からの相談はもちろん、保護者の方からの「うちの子が事業を始めたいと言い出した」というご相談も歓迎です。LINEで相談するか、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。