「やりたいことが見つからない」のは、君だけじゃない
「将来やりたいことが分からない」「志望理由を書こうとしても手が止まる」「友達はもう進路を決めているのに、自分だけ取り残されている気がする」——進路相談を受けるなかで、こうした言葉を高校生から本当によく聞きます。年に数百人の高校生と話してきた私の体感では、高2の秋〜高3の春までに「やりたいことが明確にある」と言える人は、せいぜい3割。残りの7割は、君と同じように手探りで悩んでいます。
つまり「やりたいことがない」のは、君が怠けているからでも、感性が乏しいからでもありません。10代のうちに将来を1つに絞れるほうが、むしろ少数派です。文部科学省が高校生を対象に行った調査でも、進路選択に「不安を感じている」と答える生徒は半数を超えています。だからまず、「自分だけが遅れている」という思い込みを、いったん横に置いてください。
本記事は、Core Learning CommunityのCareer Mentorとして進路コーチングを担当する私が、「やりたいことが見つからない」高校生に向けて、明日からできる3ステップに整理した内容です。一度に全部やる必要はありません。気になったステップから1つずつ、自分のペースで取り組んでみてください。
ステップ①:自分の感情が動いた瞬間を集める
「やりたいこと」を頭で考えても出てこないのは、それが論理ではなく感情から生まれるからです。最初のステップは、自分の感情が動いた瞬間を「過去」と「日常」から拾い集めることです。やり方はシンプルで、1週間、スマホのメモアプリに「今日、心が動いた瞬間」を一行ずつ記録するだけです。
記録するのは、ポジティブな感情だけではありません。「ワクワクした」「悔しかった」「腹が立った」「もっと知りたいと思った」「逆に無関心だった」——どんな種類の感情でも構いません。たとえば「YouTubeで建築の動画を見て3時間溶けた」「同級生がプレゼンで褒められているのを見て、なぜか焦った」「電車で困っていたお年寄りを助けたら、想像以上に嬉しかった」。こうした瞬間の積み重ねが、自分の興味の地図になります。
1週間続けたら、メモを見返してパターンを探します。「人と話している瞬間が多い」「ものづくりの場面に反応している」「数字や仕組みに惹かれている」——傾向が見えてくるはずです。これは自分の「興味の重力場」のようなもので、将来やりたいことのヒントが必ずここに隠れています。同じ自己分析プロセスは、総合型選抜(旧AO入試)対策の最初のステップでも有効です。
注意点として、「最初から立派なテーマ」を探さないこと。社会課題や世界平和のような大きな話ではなく、「自分が3時間没頭できたもの」を見つけるほうが先です。やりたいことは大きさではなく、自分との距離の近さで決まります。
ステップ②:5人の大人に「仕事の話」を聞きに行く
ステップ①で興味の方向が見えてきたら、次は外の世界に出ます。具体的には「タイプの違う5人の大人」に、仕事の話を聞きに行きます。これを私は「大人インタビュー」と呼んでいて、進路コーチングでは必ず最初に課題にします。
聞きに行く相手は、(1)親や親戚、(2)学校の先生以外で、(3)20代〜50代、(4)職種が違う、5人を目安に。会社員、自営業、フリーランス、医療・福祉、研究職、クリエイター系——なるべくバラバラに選ぶのがコツです。質問は3つだけで十分です。「今の仕事の何が一番楽しいですか」「逆にしんどい瞬間はどんな時ですか」「10代の頃、自分が今この仕事に就くと思っていましたか」。
このインタビューの目的は、職業情報を集めることではありません。「働く大人のリアルな感情」に触れることです。多くの大人は、10代の頃に思い描いていた職業に就いていません。途中で方向転換した話、迷った時期の話、決定的だった出会いの話——これらを聞くと、「進路は1本道で決めるものじゃない」という感覚が自然と身につきます。
もし「身近に5人もそんな大人がいない」と感じたら、それ自体が大きなヒントです。10代が出会える大人の数は、住む場所や家庭環境によって偏りがあります。意図的に大人ネットワークの設計が必要、というのがCLCの考え方で、ミッションやaboutページでもこの点を強調しています。学校の外で多様な大人と関わる場を、自分から探しにいく動きが、ここから先の進路設計を大きく変えます。
ステップ③:小さく試して、選択肢を絞り込む
ステップ①で内側を、ステップ②で外側を見たら、最後は「小さく試す」フェーズに入ります。やりたいことは考えて決まるものではなく、動いて初めて輪郭が見えてくるからです。具体的には、興味のある分野で「3か月以内に着手できる小さな行動」を最低3つリストアップし、そのうち1つを今週中に始めます。
例を挙げます。映像に興味があるなら「TikTokで自分のテーマで10本投稿する」「地元のイベントを撮影させてもらう」「YouTubeで編集の無料講座を1本見終える」。福祉に興味があるなら「近所のデイサービスで2時間ボランティア体験を申し込む」「介護士の方にインタビューする」「福祉系の本を1冊読む」。教育なら「年下の子に勉強を教えるバイトを始める」「フリースクールの見学に行く」。
大事なのは、「お金がかからない・1週間で始められる・続けるかは後で決められる」3つの条件を満たすこと。小さく試すからこそ、合わなかった時にすぐ次へ移れます。3〜5個試してみると、「不思議と続いてしまう活動」が1つは見つかります。それが、現時点での君の「やりたいことの種」です。
動き出すための時間が足りない、と感じる人もいるかもしれません。通学に往復2〜3時間かかる学校生活では、放課後に新しいことを試す余白がほとんどありません。そういう時は、進路自体を組み替えるという選択肢もあります。高校に行きたくないと感じる中学生・高校生向けの記事や高卒認定からの未来設計でも触れていますが、高卒認定+CLCのような選択肢を選ぶと、平日の昼間が丸ごと自分の試行錯誤に使えるようになります。詳細は進学コースでも紹介しています。
進路は「正解」より「納得」で選んでいい
3つのステップを通じて私が伝えたいのは、「進路は正解を当てるゲームではない」ということです。やりたいことが見つかっても、進学した先で変わることはあります。むしろ大学生・社会人になってから方向転換する人のほうが多数派です。だから10代のうちに完璧な答えを出す必要はなく、「今の自分が納得できる仮の答え」で十分です。
もし保護者の方や周りの大人から「早く決めなさい」と急かされてしんどいなら、保護者向けの「やりたいことがない子への関わり方」の記事を一緒に読んでみるのもひとつの方法です。大人の側にも、考え方を整理するための材料が必要です。
CLCでは、進路に迷う高校生向けに無料の進路コーチング体験を行っています。「やりたいことが分からない」「志望理由書が書けない」「自分の興味がそもそも何なのか分からない」という状態でも、私たちCareer Mentor陣が一緒に整理します。サービス概要もぜひご覧ください。
進路相談・LINE相談は無料で受け付けています。1人で抱え込まず、まずは話を聞かせてください。LINEで相談するか、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。君のペースで、君だけの進路を一緒に描いていきましょう。