「中学を卒業したら、当たり前のように高校に行くものだと思っていた。でも、3年生になってから、心と体が同じ方向を向かなくなった」——Academic Mentorとしてご相談を受けるなかで、中3の本人から、ほぼ毎月のように同じトーンの言葉をいただきます。木部(きべ)です。CLCで理数科目と高卒認定の伴走を担当しています。先に大事なことを伝えておきます。「中3で高校に行きたくない」と感じたこと自体は、君の弱さでも逃げでもありません。むしろ、自分の人生に対して正直であろうとしている証拠です。この記事では、中3で進路にモヤモヤを感じた君のために、本当はある「5つの選択肢」を、現役のメンターとして整理します。
「中3で高校に行きたくない」は弱さじゃない
まず、いちばん大事なところから。「みんな高校に行くんだから、自分も行かなきゃ」という言葉の中には、「みんな」という主語の正体がじつははっきりしていない、という落とし穴があります。文部科学省の学校基本調査によると、日本の高校進学率は約99%と発表されており、中学卒業後の進路は確かに高校進学が圧倒的多数です。ただし、ここでの「高校」には、全日制・定時制・通信制・高等専門学校・特別支援学校など、まったく違うスタイルの学びがすべて含まれています。
「高校に行きたくない」と君が感じているのは、たぶん「全日制の、毎日決まった教室に8時間以上拘束される、特定の人間関係の中で過ごす生活」に対して、心と体が拒否反応を起こしている、ということだと思います。これは、その生活スタイルが君にとって合っていないというサインであり、「学ぶことや成長することそのものを拒否している」わけではない。ここを切り分けて言葉にできるだけで、進路の選択肢は一気に広がります。
CLCに来る中学生に共通しているのは、「学校が嫌い」なのではなく、「学校という箱と、自分の興味やリズムが合わない」ことに気づいている、という点です。詳しい背景は、保護者向けに書いた不登校の中3、高校進学を悩む親へ。焦らず選ぶ4つの道でも整理しています。本人が読んでもヒントになると思います。
選択肢①:全日制高校に進む(条件をしぼって選ぶ)
1つ目はもちろん、全日制高校に進む道です。これを最初に置く理由は、「全日制を選ぶ=今と同じしんどさが続く」とは限らないからです。中学校と高校では、人間関係も、先生との距離も、授業の進め方も、想像以上に変わります。「中学校がしんどかった人ほど、高校で生き返る」というケースは、現場でいくらでも見てきました。
ただし、選び方には条件をつけてほしい。具体的には、①通学距離(片道1時間以内が目安)、②校風(自由度・制服の有無・部活強制の有無)、③進学指導の柔軟性の3点です。中学校の延長線上にある進学先(地元の公立高校)だけで考えると、君が感じている違和感はおそらく解消されません。私立の自由な校風の学校、専門学科のある高校、芸術・体育系の高校など、君の関心とリズムに近い場所を探すと、見え方が変わります。
もう1つ。全日制を選ぶときに気をつけたいのは、「とりあえず近くの公立に行って、合わなかったら中退する」という設計は、想像以上に消耗することです。1年通って合わなかった場合、転校・中退の判断と、その後の進路再設計に、心のエネルギーと時間が大量に必要になります。最初から「合いそう」と思える場所を選んだ方が、結果として遠回りになりません。
選択肢②:通信制・定時制・チャレンジスクール
2つ目は、通信制高校・定時制高校・チャレンジスクール(自治体が運営する不登校経験者向けの公立高校)という選択肢です。これらは「高校卒業の資格を取りながら、通学日数や生活リズムを自分のペースに調整できる」という共通点があります。
通信制高校は、月に数日のスクーリング(登校日)と、レポート提出・年1回程度の試験で単位を取得する仕組みです。N高・ヒューマンキャンパス高校・第一学院高校など、近年は選択肢が一気に増えました。毎日の通学が前提にならないぶん、心身の負担は全日制よりも軽くなります。一方で、自宅学習が中心になるため、自己管理ができないと卒業まで走り切れない、という独特の難しさがあります。
定時制高校は、平日夜・午後・午前のいずれかの時間帯に通学するスタイルで、4年で卒業するのが基本です。チャレンジスクールは、東京都を中心に展開している「不登校経験者・中学校で十分に出席できなかった人」向けの三部制(午前・午後・夜間)の公立高校で、学費が公立水準で抑えられるのが大きな利点です。詳しい比較は通信制高校とマルチキャリアの進路設計と通信制高校と高卒認定どちらを選ぶ?大学進学への違いを徹底比較を合わせてどうぞ。
選択肢③:高卒認定+CLCで「学校に行かない進路」を組む
3つ目は、私たちCore Learning Communityが提案している道——高卒認定試験(高認)で大学受験資格を取りながら、通信制高校にすら所属しないという選び方です。「学校に行かない」を明確に肯定して、その時間を本人の興味・探究・キャリア形成にまるごと使う設計です。
高卒認定は文部科学省が年2回(8月・11月)実施している国家試験で、満16歳から受験できます。合格すれば、すべての国公立・私立大学の受験資格を得られ、就職や各種国家試験の受験資格としても認められる制度です。8科目前後(選択により変動)、難易度は中学〜高校1年レベル。中学範囲がしっかりできていれば、半年〜1年で取り切れる中学生がほとんどです。
CLCが他の選択肢と違うのは、「通信制高校にすら所属しない時間」の使い方を、現役起業家・大学受験のプロ・ビジネスパーソンが伴走して設計するところです。通信制高校では実現できない時間の自由を活かして、語学・探究活動・小さな起業・海外渡航・大学受験準備など、本人がやりたいテーマに、まるごとリソースを投下できます。具体的なロードマップは16歳で高卒認定→17歳海外進学のリアルロードマップと中卒で大学進学する3つのルートに書きました。プログラムの全体像はサービス紹介と進学コース、起業に関心があれば起業コースも覗いてみてください。
選択肢④:1年間「進路を休む」決断
4つ目に、あえて入れておきたいのが「1年間、進路を休む」という選び方です。海外では「ギャップイヤー」と呼ばれる文化があり、高校・大学の節目で1年間学校を離れて、自分の関心を深める時間を取る学生が一定数います。日本では制度として確立されていませんが、実態としてはまったく不可能なわけではありません。
具体的には、中学卒業後に高校進学・高卒認定挑戦のどちらもいったん保留し、1年間、学習リズム・生活リズム・自分の興味の方向性を立て直すことに集中するという設計です。読書、家業の手伝い、地域でのアルバイト、海外短期滞在、習いごとへの没頭——なんでもいいから、「自分はどの環境でエネルギーが戻ってくるのか」を観察する時間に使います。
注意点は2つあります。第一に、「ただ何もしない1年」と「観察と再設計の1年」はまったく違うということ。後者にするには、週ごとの記録や、月1回の振り返りの場が必要です。第二に、1年経った時点で次の選択肢に動ける準備をしておくこと。高卒認定であれば16歳になった年度の8月試験から挑戦できます。「休む」のは選択肢の放棄ではなく、次の選択肢を選ぶための準備期間として位置づけてください。
家族と話すときに使ってほしい3つの問い
最後に、家族と進路の話をするときに使ってほしい問いを3つだけ置いておきます。「行きたくない」「わからない」「どっちでもいい」だけで会話が終わってしまうと、家族もどう動けばいいかわからずに膠着します。具体的な問いを共有できると、空気が変わります。
問い①「私はどの環境ならエネルギーが戻る?」——朝起きて元気が出る場所、時間、人の組み合わせを思い出してみる問いです。「学校に行きたくない」の中身を、場所×時間×人の解像度で言語化すると、選ぶべき選択肢が見えてきます。
問い②「3年後の私は、何ができるようになっていたい?」——18歳の自分が手にしていたい力(語学・受験合格・小さな事業・専門スキルなど)を、ざっくりでいいので置いてみる問いです。3年後の像から逆算すると、いま選ぶ進路の意味が変わって見えます。やりたいことが見つからないときの考え方は「やりたいこと」が見つからないときのキャリアリセットを参考にしてみてください。
問い③「家族と私が一緒に頼れる外部の伴走者は誰?」——家庭内だけで進路を抱えると、関係性が消耗します。学校の先生、進路コーチング、信頼できる先輩、CLCのような外部の伴走者——第三者を1人入れるだけで、家族の対話の質は変わります。CLCは、進路設計・学習計画・大人との対話の場すべてをカバーするオーダーメイドの伴走者として設計されています。詳しいスタンスは私たちの想いとCLCについてもぜひ。
「中3で高校に行きたくない」と感じた瞬間は、君の進路設計が「親や学校の言うとおりに進む段階」から「自分で選ぶ段階」へ切り替わるサインだと、私は思っています。5つの選択肢のうち、どれを選んでも正解になり得ます。一人で抱え込まず、家族と、そして外部の伴走者と一緒に、次の一歩を選んでみてください。