「学校に行きたくない」と言われたとき、親がまず立ち止まりたいこと
ある朝、我が子が布団から出てこない。「学校に行きたくない」と口にする。あるいは、理由も言わずただ黙り込む――。その瞬間、多くの親御さんの頭をよぎるのは、「怠けているのでは」「甘やかしていいのか」「このままで将来どうなるのか」という不安だと思います。私はふだん、経営者やさまざまなキャリアを持つ大人が集まる場で仕事をしていますが、そこで出会う「今は活躍している人」の中にも、10代で学校に行けなかった時期を持つ人は決して珍しくありません。学校に行けない時期があったことと、その子の将来の可能性は、まったく別のものです。
不登校は、文部科学省の調査でも年々増え続けている、ごくありふれた状態です。特別な家庭で起こる特別な出来事ではありません。原因も、いじめや友人関係、勉強のつまずき、起立性調節障害のような体調面、あるいは本人にもうまく言葉にできないものまでさまざまで、「これが原因」と一つに絞れないことのほうが多いのです。だからこそ、まず親御さんに立ち止まってほしいのは「原因を突き止めて解決しよう」と焦る前に、「今、この子は相当エネルギーを消耗している」という事実を受けとめることです。
行けないことを責めても、行けるようにはなりません。むしろ、家庭が「行く/行かない」を問い詰める場になってしまうと、子どもは家の中でも安心できなくなります。まずは、子どもにとって家が「休んでいい場所」であること。それが、次の一歩を考えるための土台になります。
よかれと思って言いがちな3つの言葉と、その言い換え
親御さんの多くは、子どもを追い詰めたいわけではありません。それでも、不安のあまり出てしまう言葉があります。ここでは代表的な3つを、責める意図ではなく「言い換え」の視点で整理してみます。
①「なんで行けないの?」。理由を聞きたい気持ちは自然ですが、本人も理由がわからないことが多く、問い詰められると「答えられない自分が悪い」と感じさせてしまいます。言い換えるなら、「話したくなったら聞かせてね」と、答えを急がない姿勢を示すこと。②「みんな頑張って行ってるよ」。他人と比べる言葉は、子どもを一番孤独にします。「あなたはあなたのペースでいい」と、比較の物差しをいったん外す。③「このままだと将来困るよ」。将来を心配するからこその言葉ですが、今つらい子にとっては脅しに聞こえます。「これからのことは、落ち着いたら一緒に考えよう」と、味方であることを伝えるほうが届きます。
大切なのは、正しい言葉を完璧に選ぶことではありません。言い方を間違える日があってもいい。それよりも、「あなたの味方だ」という一貫したメッセージが、時間をかけて子どもに伝わっていくかどうかです。同じ悩みを抱える保護者の方には、不登校の中3を持つ親へ|高校進学の悩みとの向き合い方もあわせて読んでいただくと、進学のタイミングとの向き合い方が見えてくると思います。
「学校に戻すこと」をゴールにしない見守り方
「見守りましょう」とよく言われますが、親からすると「ただ待っているだけでいいのか」と不安になるものです。ここで一度、ゴールの置き方を見直してみてください。多くの場合、親は無意識に「元の学校に戻ること」をゴールに設定しています。けれど、そのゴールに縛られると、子どもの小さな回復も「まだ学校に行けていない」というマイナスでしか見えなくなってしまいます。
私が経営やネットワークづくりの現場で実感しているのは、人が伸びるのは、追い立てられたときではなく、安心して自分の関心に向き合えたときだということです。子どもも同じです。ゴールを「学校復帰」から「この子が自分のエネルギーを取り戻すこと」に置き換えると、見えてくる景色が変わります。昨日より少し会話が増えた、好きなことに手が伸びた、朝の表情が和らいだ――そうした変化こそが、次の進路を考える前の大事な回復のサインです。
見守るとは、放置することではありません。子どもの様子を観察し、必要なときに手を差し出せる距離で待つことです。同時に、親御さん自身が一人で抱え込まないことも欠かせません。学校のスクールカウンセラー、自治体の教育相談、フリースクールなど、家庭の外にも相談先はあります。利用できる公的な支援については不登校の子を支える支援制度ガイドで整理しているので、選択肢を知る手がかりにしてください。
家庭でできる、親子のコミュニケーションの整え方
家庭でのコミュニケーションは、特別なことをする必要はありません。むしろ、「進路や学校の話をしない時間」をきちんと持つことが、遠回りに見えて近道です。食事を一緒にとる、好きなテレビやゲームの話に付き合う、買い物に誘ってみる。そうした「学校と関係のないやりとり」が積み重なることで、子どもは「自分は学校に行けるかどうかで評価されているわけではない」と感じられるようになります。
その上で、子どもが何かを話し始めたときは、解決策を先に出さず、まず最後まで聞くこと。「それはこうすればいい」とアドバイスを急ぐと、子どもは「話しても否定される」と感じて口を閉じてしまいます。「そう感じてたんだね」と、まず気持ちを受けとめる。親が答えを持っていなくていいのです。一緒に迷ってくれる大人がいること自体が、子どもにとっての安心になります。
それでも、親子だけだと距離が近すぎて、かえって本音を言いづらいこともあります。私自身、多くの若い世代と接してきて感じるのは、「親でも先生でもない、ナナメの関係の大人」の存在が、子どもの気持ちをほぐすことが多いということです。学校を離れて多様な大人と出会える場を持つことは、進路を考えるうえでも大きな財産になります。
学校以外にも進路はある――親が知っておくと安心できる選択肢
子どもが落ち着いてきたら、少しずつ「これから」の話ができるようになります。そのとき、親御さんが選択肢を知っているかどうかで、家庭の空気は大きく変わります。「学校に戻る」以外にも、進路はいくつもあるからです。通信制高校への転入、フリースクールの活用、そして高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)を取って大学・専門学校への道を開くルートもあります。高卒認定は文部科学省が実施する国の試験で、毎日学校に通わなくても大学受験資格が得られるため、体調や生活リズムに波がある子とも相性がよい選択肢です。制度の詳細は高卒認定の真実|保護者が知るべきメリットと誤解で解説しています。
私たちCore Learning Communityは、「学校に行かない」という選択そのものを否定しません。むしろ、通信制高校でも実現しにくい「時間の自由」を活かして、その子が熱狂できることを起点に進路を設計します。現役の起業家やビジネスパーソンが伴走し、たとえば16歳で高卒認定を取り、17歳で海外進学に挑むといった、これまでの「当たり前」にとらわれない道も一緒に描けます。大学進学を軸に考えたいご家庭は、CLC進学コースもご覧ください。サポートの全体像はサービス紹介ページにまとめています。
不登校は、その子の人生の失敗ではありません。立ち止まって自分と向き合う、大切な時間になり得ます。とはいえ、渦中にいる親御さんが一人で最適な道を見つけるのは簡単ではありません。「学校に行けていないけれど、この子の将来を一緒に考えたい」――そんな気持ちを、まずは私たちにお聞かせください。お子さんが今学校に行けているかどうかは一切問いません。LINEの無料相談やお問い合わせフォームから、保護者の方だけでのご相談も歓迎しています。