進路より先に来る不安は、たいてい「友達」の話
「高校をやめようか迷っている」という相談を受けたとき、私が必ず聞くようにしている質問があります。「やめたあとの生活で、いちばん想像がつかないのはどこ?」——この問いに返ってくる答えは、単位でも学費でも大学受験でもありません。圧倒的に多いのが「友達がいなくなるのが怖い」です。
私は通信制高校を経て、いまは学習メンターと別の仕事を並行して続けています。自分自身が学校の外に出た側なので、この不安の手ざわりはよくわかります。進路の話は紙の上で比較できますが、人間関係は比較表に載りません。だから最後まで解像度が上がらないまま、いちばん大きな恐怖として残り続けます。
ただ、この不安をよく聞いていくと、たいてい三つの別々のものが混ざっています。①いま仲のいい友達と会えなくなるのではないか。②新しい友達をつくる機会が、この先ずっとなくなるのではないか。③同年代から外れた自分を、みんながどう見るのか。
①は事実確認で答えが出ます。②は行動しだいで変わります。③は他人の視線ではなく、自分が自分をどう扱うかの問題です。性質がまったく違うので、まとめて「友達が心配」と抱えているかぎり解けません。この記事では、この三つを順にほどいていきます。やめること自体を迷っている段階の人は、高校をやめたい高校生へ|辞める前の5つの選択肢もあわせて読んでみてください。
やめても続く関係と、切れる関係を分けているもの
まず①から。学校をやめると、いまの友達とはどうなるのか。ここは経験上、かなりはっきりした線があります。
切れやすいのは「同じ場所にいたから話していた」関係
教室の席が近い、部活が同じ、休み時間にたまたま一緒にいる——こうした関係は、共有していたのが「時間と場所」だけです。だから場所がなくなると自然に減っていきます。これは相手が冷たいわけでも、あなたが嫌われたわけでもありません。同じことは、卒業やクラス替え、進学のたびに全員に起きています。学校をやめた人だけに起きる現象ではない、というのは覚えておいてほしい事実です。
続くのは「学校の外でも会う理由がある」関係
逆に残るのは、共有しているものが場所ではない関係です。同じゲームをやっている、音楽の趣味が合う、悩みを話せる、会わなくてもメッセージが続く。こういう相手とは、学校をやめても関係が変わらないことがほとんどです。私の周りでも、いま連絡を取り合っているのは在学中から「学校の外で会っていた人」に偏っています。
試しに、いま仲がいいと思う人を紙に書き出して、「学校の外で二人だけで会ったことがあるか」で分けてみてください。数は減るかもしれません。でも、そこに残った名前は、進路が変わっても消えない関係です。心配していた「全部なくなる」は、たいていの場合、事実ではありません。
もうひとつ現実的な話をすると、関係が減る時期は確かにあります。やめた直後の一、二か月は、連絡が目に見えて少なくなることが多い。ここで「やっぱり自分は見捨てられた」と結論を出さないでほしいのです。相手も自分の学校生活で手一杯なだけで、こちらが動けるようになってから再開する関係はたくさんあります。
実際に起きること——学校を離れた10代の3つのパターン
次に②です。学校を離れたあと、人間関係がどうなっていくか。私が見てきた範囲では、大きく三つに分かれます。誰がどれになるかは、能力や性格よりも「予定が入っているかどうか」でほぼ決まります。
パターン1:一時的に細くなり、半年ほどで別のつながりができる。いちばん多い形です。やめた直後は人と会う回数が減りますが、バイト・オンラインの学習コミュニティ・習い事など、何かしら他人と関わる予定が入ると、そこから新しい関係が生まれていきます。共通点は、やめる前後のどこかで「行く場所」を用意していたことです。
パターン2:関係の質が上がる。学校の人間関係は、正直なところ選べません。同じ年に生まれて同じ地域に住んでいる、というだけの偶然で集められた集団です。学校の外では、自分が興味のある領域で人を選べます。年上の社会人と話す機会も一気に増える。「同年代としか話したことがなかったのが、いろんな年齢の人と話すようになった」という声は本当によく聞きます。関わる人の数は減っても、話が合う人の割合は上がります。
パターン3:孤立が長引く。これも正直に書いておきます。起きるのは、家から出る予定がゼロの状態が続いたときです。学校は、意思がなくても人に会える仕組みでした。それを外すと、人と会う量は「自分で予定を入れた分」だけになります。ここを甘く見ると、生活が昼夜逆転し、誰とも話さない日が積み上がっていきます。もし体調や気分の落ち込みが長く続く場合は、一人で抱えず、医療機関やスクールカウンセラー、自治体の相談窓口に相談してください。
つまり、やめること自体が孤立を生むわけではありません。「人と会う予定を自動で発生させてくれる装置」を失うことが本質です。だから対策もはっきりしています——外したぶんを、自分で設計して埋める。やめたあとの時間全体の使い方は高校に通う意味がわからない君へ|やりたいことがある高校生へでも触れています。
学校の外で人間関係をつくる4つの場所
では、具体的にどこで人と出会うのか。10代が現実的に動ける場所を四つ挙げます。
1. アルバイト・仕事の現場
もっとも手堅い選択肢です。給料が出て、生活リズムが固定され、年上の人と毎週会える。高校生が働ける時間には法律上の制限があり、学校に在籍していない場合の扱いも職場によって異なるので、応募前に条件を確認しておきましょう。「学校をやめた自分を雇ってくれるのか」と不安になる人が多いのですが、人手が必要な現場では、来られる時間が長いことがそのまま強みになります。
2. 興味の領域のコミュニティ
プログラミング、映像、音楽、スポーツ、ボードゲーム——分野は何でもかまいません。共通の対象があると、年齢や所属を説明しなくても会話が始まります。学校では「何年何組か」が最初の自己紹介ですが、外では「何をやっているか」が自己紹介になります。これは学校の外に出た人にとって、かなり有利なルールの変更です。
3. 同じ進路を選んだ同年代がいる場所
高卒認定の勉強をしている人、通信制高校に通っている人、自分で何かを始めた人。「学校をやめた」という前提を説明しなくていい相手と話せることの効果は、想像より大きいです。私自身、通信制に移ってから、同じ選び方をした人と話せたことでかなり楽になりました。似たルートを歩いた人の話は高卒認定から起業した10代のリアル|熱狂を仕事にする進路にもまとめています。
4. 大人と関わる場
ここが、学校の外に出たときの最大の変化かもしれません。私たちCore Learning Communityでは、学習メンターに加えて、現役の起業家やビジネスパーソンがメンターとして関わります。中学生・高校生が、利害のない大人と定期的に話せる場所は、実はそれほど多くありません。進路の相談相手が親と先生の二種類しかなかった状態から、選択肢が増えるという意味でも大きい変化です。大学進学を軸に考えるなら進学コース、自分で何かを立ち上げたいなら起業コースで、それぞれ関わる大人の顔ぶれが変わります。
四つのうち、最初から全部やる必要はありません。週に一回、家の外に出る予定が入っていること——まずはそこだけを目標にしてください。
動き出す前に、自分で確かめておきたい3つのこと
最後に③、「同年代から外れた自分をどう見られるか」に触れておきます。ここは正直、完全にゼロにはなりません。事情を知らない人から質問されることはあります。ただ、多くの場合それは詮索ではなく、単に情報がないだけです。「いまは高卒認定を取りながら○○をやっている」と一文で答えられる準備があると、この場面はかなり軽くなります。答えを用意しておくことは、隠すこととは違います。
そのうえで、やめるかどうかを決める前に、自分で確かめておいてほしいことを三つ挙げます。
①いまの友達のうち、学校の外で会ったことがある人を書き出す。数が一人でもいれば、「全部なくなる」は事実ではないと確認できます。ゼロだった場合は、在学中のうちに一度会ってみる。これはやめる前にしかできない準備です。
②やめたあとに人と会う予定を、先に一つ決めておく。バイトの応募でも、オンラインの学習の場でも、週一の習い事でもかまいません。順番が大事です。やめてから探すより、決めてからやめるほうが、はるかに落ちにくくなります。
③やめるのか、休むのか、変えるのかを分けて考える。退学のほかに、休学や転学という選択肢もあります。人間関係の不安が大きいときほど、最初から一番後戻りしにくい選択をしなくてもいい。中退後の進路の組み立て方は高校中退その後の進路|後悔しない再設計4ステップに整理してあります。
私たちCore Learning Communityは、学校に行かないという選択を否定しません。そのうえで、空いた時間をどう使い、誰と過ごすのかを一緒に設計していきます。高卒認定は必要な科目に合格した時点で終わるので、通信制高校でも実現しにくい時間の自由が手に入ります。その時間を、一人で家にいる時間ではなく、人と何かをつくる時間に変えるところまでが進路設計だと考えています。詳しくはサービス紹介と私たちのミッションをご覧ください。
「やめたら一人になるかもしれない」——その不安を持ったまま相談に来てくれてかまいません。むしろ、そこが出発点として一番話しやすいテーマです。LINEの無料相談から、いまの状況を聞かせてください。お問い合わせフォームやよくある質問もご利用いただけます。