ニュース一覧に戻る
木部 皓太(Kota Kibe)
Academic Mentor|理数科目・高卒認定

Core Learning Community で理数科目と高卒認定を担当している木部です。保護者の方との面談でいちばん多く受ける質問が、これです。

「高2の途中まで通ったのですが、あの2年間は無駄になるんでしょうか」

答えは、はっきりノーです。高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)には科目免除という仕組みがあり、高校で修得した単位は、そのまま受験する科目を減らす方向に働きます。ところがこの制度、受験案内を読まないと存在自体に気づきにくく、受けなくてよかった科目まで勉強していた——という相談を毎年いただきます。この記事では、免除の仕組みと手続き、そして最も誤解が多い落とし穴までを、保護者の方向けに整理します。

「高校に通った分は無駄になる」は誤解です

高卒認定は、そもそも科目合格制です。全科目を一度にそろえる必要はなく、合格した科目は次回以降も持ち越されます。年2回(例年8月と11月)実施されるので、1回で全部取れなくても構わない設計になっています。

そして、その手前にもう一段あるのが科目免除です。「すでに高校で修得した単位に相当する試験科目は、受験しなくてよい」という仕組み。つまり高卒認定は、免除で減らし、科目合格制で分割する、という二段構えで負担を下げられる試験なのです。

感覚をつかんでいただくために、よくあるケースを挙げます。高1を修了して高2の途中で学校を離れた場合、国語・数学・英語・歴史といった1年次に配当されることの多い基礎的な科目は、すでに単位を修得していることが少なくありません。その結果、受験が必要な科目が半分前後まで減ることも実際にあります。もちろん、どの科目を何単位取れているかは学校とご本人によって変わるので、ここは「そういうケースがある」という範囲で受け取ってください。

逆に言えば、免除を確認しないまま学習計画を立てるのは、いちばんもったいない進め方です。中退という選択の直後は気持ちの整理が優先になりがちですが、進路の再設計については高校中退その後の進路|後悔しない再設計4ステップもあわせてお読みください。

免除は何で決まるか——「単位修得証明書」という1枚の紙

免除の判定材料は、在籍していた高校が発行する「単位修得証明書」です。ポイントは、判定が「何年生まで通ったか」ではなく「どの科目を何単位修得したか」で決まること。出席日数でも、在籍期間でもありません。

おおまかなイメージとしては、「数学I」を規定の単位数だけ修得していれば試験科目の「数学」が免除、「英語コミュニケーションI」で「英語」、「歴史総合」で「歴史」、「現代の国語」と「言語文化」の両方で「国語」——というように、科目ごとに必要な履修科目と単位数の条件が決められています。ただしこの対応関係は、入学年度の教育課程によっても、試験制度の改定によっても変わります。実際、高卒認定の試験科目自体が近年見直されており、旧課程で学んだ方と新課程の方では条件が異なります。必ず、文部科学省が公表しているその年度の受験案内で確認してください。

手続きで、親が動いたほうが早いこと

単位修得証明書は、出身高校(中退した学校を含む)に連絡して発行してもらいます。学校によっては発行まで1〜2週間かかることがあり、郵送を挟むとさらに伸びます。願書の受付期間は長くありません。受験を考え始めた時点で、まず取り寄せに動くのが安全です。

転校を経ている場合は、在籍したすべての学校から取り寄せる必要があります。1校分だけで判断して、免除できたはずの科目を受けてしまう——これも実際に起きるミスです。

そして、ここは私が保護者の方にはっきりお伝えしている数少ない場面です。母校への連絡は、親が代わりに動いていい部分です。学校を離れた経緯によっては、本人が電話をかけること自体が大きな負担になります。事務手続きは大人が引き受け、本人には勉強と進路を考える体力を残す。役割を分けたほうが、全体としては早く進みます。費用や出願まわりの全体像は高卒認定の費用と制度Q&A|保護者向け完全ガイドにまとめています。

英検・数検・歴史能力検定でも免除できる

免除のルートは、高校の単位だけではありません。技能審査(検定)の合格による免除もあります。代表的なのは、実用英語技能検定(英検)による英語、実用数学技能検定(数検)による数学、歴史能力検定による歴史です。対象となる級・等級には条件があり、こちらも年度によって扱いが見直されるため、受験案内での確認が前提になります。

この仕組みが効くのは、実は高校に通っていない中学生です。高校の単位がゼロでも、検定は誰でも受けられます。中3の段階で英検を一定の級まで取っていれば、その時点で1科目分の見通しが立つ。「学校に行っていないから何も積み上がっていない」と感じているご家庭ほど、ここは確認する価値があります。高校に進学しないという進路そのものについては高校に進学しない選択はアリ?中卒からの進路ガイドで扱っています。

ただし、理数を担当している立場から、正直な注意点をひとつ。「免除のためだけに検定を取りに行く」のは、たいてい遠回りです。数検の上位級は、高卒認定の数学より明らかに難度が高い。すでに持っているなら迷わず使う、これから取るなら普通に高卒認定を受けたほうが早い——というのが、私が実際に生徒と計画を立てるときの判断です。高卒認定そのものの難度については高卒認定は難しい?合格率と独学の勉強法をご覧ください。

全科目免除でも「1科目は受験」——いちばん多い誤解

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

免除を積み上げていくと、まれに「全科目が免除の条件を満たしている」という状態になることがあります。高校を3年生まで通っていて、卒業まであと少しだった、というケースです。ところが——免除だけで全科目がそろっても、それは合格にはなりません。高卒認定は「試験に合格したこと」を認定する制度なので、最低1科目は実際に受験して合格する必要があります。

これを知らずに、「全部免除だから出願だけすれば取れる」と考えて準備を止めてしまう。そして受験機会を1回分、丸ごと逃す。年2回しかない試験でこれは痛い。制度の細部は地味ですが、こういう一点が半年を左右します。

もうひとつ、性質の違う誤解にも触れておきます。免除が多い=大学受験で有利、ではありません。免除が意味するのは「その科目の勉強時間が浮く」ことであって、「その科目の学力が保証される」ことではない。免除のおかげで高卒認定は早く終わったのに、大学受験の段階で基礎が抜けていて止まる——このパターンは実際に見てきました。免除は時間の話、学力は別の話。ここを分けて考えられるかどうかで、その後が変わります。

なお、受験した科目のうち一部だけ不合格だった場合も、合格済みの科目は残ります。立て直し方は高卒認定に落ちた科目がある君へ|11月再受験の戦略で具体的に書きました。

免除が決まったあと——残り科目と、生まれた時間の使い方

単位修得証明書が届いて免除科目が確定すると、多くのご家庭で反応が変わります。「思っていたより早く終わる」——残り3〜4科目であれば、1回の試験で取り切ることも十分に現実的だからです。

そして、ここからが本題だと私は考えています。問題は、浮いた時間をどう使うかです。

高卒認定を早く終えた子には、同学年の高校生が校舎で過ごしている時間が、まるごと自由時間として残ります。平日の日中が空いている——これは通信制高校でも実現しにくい種類の時間の自由です。ただし自由な時間は、放っておいて勝手に価値になるものではありません。予定が入っていない時間は、想像以上に速く溶けます。

だから Core Learning Community では、免除と受験科目の整理を「入口」の作業と位置づけ、その先の設計まで一緒に引きます。大学進学を目指すなら進学コースで、浮いた時間を総合型選抜の実績づくりや基礎の学び直しに振り向ける。自分で何かを立ち上げたいなら起業コースで、現役の起業家・ビジネスパーソンが伴走します。学校に行かないという選択を、空白ではなく前倒しに変える——私たちが一貫して置いている前提です。

最後に、保護者の方へ。免除の手続きは、大人が引き受けて構いません。証明書の取り寄せも、受験案内の読み込みも、出願書類の確認も、大人のほうが速い。ただし、空いた時間を何に使うかは、本人に決めさせてください。そこまで大人が決めてしまうと、せっかく前倒しした時間が、もう一度「与えられた時間割」に戻ってしまいます。手続きは親、設計は本人、伴走は第三者。この分担が、いちばん無理なく続きます。

「うちの子は何科目免除になりそうか、いまの状況で見当をつけたい」——そんな段階でも大丈夫です。LINEの無料相談に、在籍していた高校・学年・いつまで通っていたかの3点だけ書いてお送りください。保護者の方だけのご相談も歓迎しています。全体像はサービス紹介、制度面のよくある疑問はよくある質問、個別のご相談はお問い合わせからどうぞ。

あわせて読みたい関連記事