「入学したときは、まあ頑張ろうと思っていた。でも10月になって、どうしてもこの高校が自分に合っていないと感じる」——高1のこの時期、こういう相談が増えます。夏休みが終わって授業が本格化し、文化祭や中間テストを一通り経験したあとに、はじめて「ここで3年間」という実感が来るからです。
Core Learning Community でアカデミックメンターをしている木部皓太です。数学や理科を中心に、高卒認定試験の受験から大学受験までの学習サポートを担当しています。私が指導で接してきた高校生のなかには、高1の秋に進路を組み替えて、そこから大学受験に向かった人も、自分の事業づくりに向かった人もいます。共通していたのは、「辞めるか、我慢するか」の二択で考えるのをやめた時点から動き出していたことです。この記事では、その二択の外側にある選択肢を整理します。
高1の秋に「合わない」と気づくのは、遅くない
まず前提として、高1の10月に違和感が出るのは不自然なことではありません。中学までは学区で決まっていた環境が、高校で初めて「自分が選んだ環境」になります。選んだはずの場所が合わないと、落差が本人の責任のように感じられてしまう。ここでつまずく人は毎年います。
文部科学省の調査でも、高校を中途退学する生徒は毎年一定数おり、学年別では1年生の割合が高い傾向が示されています。つまり「高1で合わないと感じる」は、制度の側もすでに想定している事態です。
そして時期としても、秋はむしろ動きやすいタイミングです。転入・編入の受け入れは学期の区切りに合わせて行われることが多く、高卒認定試験も年2回(例年8月と11月)実施されます。冬に入ってから慌てるより、10月から11月のうちに情報だけ集めておくほうが、選べる幅は広く残ります。
「合わない」の正体を3つに分ける——人・内容・時間
相談を受けるとき、私は最初に「何が合わないのか」を3つに分けてもらいます。ここを分けないまま辞めると、別の環境でも同じことが起きてしまうからです。
① 人が合わない。クラスの空気、部活の人間関係、特定の先生との相性。これは環境を変えると改善する可能性が高い一方、転校先でも再発しうるものです。通信制高校や高卒認定ルートのように、そもそも毎日同じ集団にいなくて済む形にすると、構造的に負荷が下がります。
② 内容が合わない。進度が速すぎる/遅すぎる、興味のない科目に時間を取られる、という不一致です。数学や理科でよく起きるのは「一度つまずいた単元を置いたまま次に進む」パターンで、能力ではなく進度の問題であることが多い。個別指導やオンライン学習で学び直す余地は十分あります(勉強の遅れを取り戻す手順)。
③ 時間が合わない。やりたいことがすでにあるのに、週5日・1日6〜7時間を学校に固定されてしまう。朝起きるのがつらく体調が続かない、というケースもここに近いです。このタイプだけは、環境を変えても「同じ学校形式」のままなら解決しません。必要なのは時間の構造を変えることで、選択肢の種類が変わってきます。
①②なら転校や学び直しで足りることが多く、③なら学校の枠自体を見直したほうが早い。切り分けるだけで、次に調べる対象が絞れます。
辞める/我慢する以外にある4つの選択肢
「合わない」と感じたあと、実際に取れる道は次の4つに整理できます。退学届を出すかどうかは、このうちの一部にしか関係しません。
A. いまの高校に残りながら負荷を下げる。部活を離れる、欠席の扱いを担任や養護教諭と相談する、保健室登校や別室登校を使う。学籍を保ったまま環境だけ軽くする方法で、卒業資格を残せるのが最大の利点です。
B. 転入・編入で別の高校に移る。全日制から通信制・定時制への転入が代表例です。単位の引き継ぎがどこまで認められるかが要点で、学校ごとに扱いが違います。詳しくは転入・編入と高卒認定を比べた記事で整理しています。
C. 通信制高校に移って、空いた時間を使う。登校日数が少ないぶん時間は空きますが、レポート提出とスクーリングという形で学校のペースは残ります。自分で計画を立てる力が要求される形式です。
D. 高校に在籍せず、高卒認定で大学受験資格を取る。高卒認定試験(旧・大検)は文部科学省が実施する国の試験で、合格すれば大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。満16歳以上で受験でき、高1の年度のうちに取り切る人もいます。高校卒業の資格とは別物ですが、大学進学ルートとしては成立します(メリット・デメリット)。
辞めることを先に決める必要はありません。高校をやめたいと感じたときの5つの選択肢でも書かれているとおり、順番は「比べてから決める」で十分間に合います。
高卒認定ルートを選ぶと、勉強はどう変わるか
私が主に担当しているのがここなので、学習面を具体的に書きます。高卒認定試験は8科目前後(選択により変動)で、各科目の合格ラインは例年4割程度とされています。難易度は高校1年の基礎範囲が中心で、難関大学の入試問題のような思考力勝負ではありません。
よく聞かれるのが「数学が苦手でも通るか」ですが、出題は数学Iの範囲が中心で、計算と基本的な処理が確実にできれば届く設計です。私の指導では、つまずいた単元を特定して戻るところから始めます。中学範囲の分数や方程式に穴があるまま高校数学をやっていたケースは珍しくなく、そこを埋めると進み方が変わります。なお在籍中に取得した単位による科目免除が使える場合もあり、受験科目数は人によって変わります。
そして本題は、合格したあとです。高卒認定を取るだけでは進路は決まりません。大学進学を目指すなら合格後の受験勉強の設計が本番で、総合型選抜を狙うなら高校の活動実績に代わるものを自分で積む必要もあります。大学進学ルートはみらい進路研究所(進学コース)が、事業づくりの方向は起業コースが、それぞれ一人ひとりの状況に合わせて計画を組みます。CLCでは学習メンターと現役の起業家・ビジネスパーソンが伴走し、通信制高校でも得にくい時間の自由を、進学準備や実績づくりに充てる形をとっています。提供内容はサービス紹介にまとめています。
今週からできる3ステップ。決めるのは冬でいい
最後に、今週からできることを3つに絞ります。結論を今月中に出す必要はありません。
ステップ1——「合わない」を紙に3行で書く。人・内容・時間のどれなのか、自分の言葉で書いてみてください。自分でも整理できていないまま親や先生に話すと、「甘え」と受け取られてしまうことがあります。言葉になっていれば、話が通りやすくなります。
ステップ2——4つの選択肢を調べるだけ調べる。決めるのはまだです。在籍校の転学・休学の規定、近隣の通信制高校の転入条件、次回の高卒認定試験の日程と科目。この3点を調べると、現実の締め切りが見えてきます。よくある質問にも、制度面でつまずきやすい点をまとめています。
ステップ3——学校の外の人に一度話す。家庭と学校だけで話すと、どちらも「卒業してほしい」という前提から離れにくくなります。学校に行かない選択も含めて扱う相談先を入れると、会話の前提が変わります。
高1の秋は、まだ選べる時期です。ここで情報を集めておくかどうかで、冬に取れる手の数が変わります。
「高1だけど高校が合わない。どうしたらいいか分からない」——その一文で構いません。LINEの無料相談に、学年と「何が合わないか」を送ってください。選択肢を並べて比べるところから、一緒に整理します。お問い合わせフォームからもご相談いただけます。