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狩野 博司(Hiroshi Karino)
Career Mentor|経営・ビジネスネットワーク

「起業したい」は、進路の危険信号ではない

ある日、お子さんが「起業したい」「会社を作りたい」「学校よりやりたい事業がある」と言い出したら——多くの保護者の方は、まず戸惑い、そして不安になると思います。「勉強はどうするのか」「食べていけるのか」「一時の思いつきではないか」。その心配は、ごく自然なものです。私自身、経営とビジネスネットワークに長く携わってきた立場から言っても、その不安を頭ごなしに否定するつもりはありません。

ただ、ひとつだけ最初にお伝えしたいことがあります。「起業したい」という言葉は、進路をあきらめた合図ではなく、むしろ「自分の力で何かを生み出したい」という前向きな意欲の表れだということです。やりたいことが見つからず立ち止まる10代が少なくないなかで、お子さんは自分の関心を言葉にできている。それ自体が、実はとても貴重な状態なのです。

この記事では、お子さんの「起業したい」にどう向き合えばいいのかを、保護者の視点で整理します。応援すべきか止めるべきかという二択ではなく、「進路の選択肢を狭めずに、挑戦を支える」という第三の関わり方を具体的にお話しします。「そもそもやりたいことが見えない」というご家庭には、「やりたいことがない」子に親はどう関わるかもあわせて参考になります。

反対する前に知っておきたい、10代起業のリアル

「起業」という言葉に、いきなり会社設立や多額の資金を思い浮かべる必要はありません。10代が始める事業の多くは、好きなことや得意なことを小さく形にして、誰かに届けてみる——そのレベルから始まります。ここを誤解したまま反対してしまうと、お子さんの意欲だけを削ぐことになりかねません。

元手が小さく、失敗のダメージも小さい

動画編集、イラスト、ハンドメイド、プログラミング、SNS運用——いま10代が始められる事業の多くは、大きな初期投資を必要としません。扶養してくれる家庭という土台があるうちは、挑戦して失敗しても致命傷になりにくい。むしろ、この年齢で「小さく試して、うまくいかなければ直す」という経験を積めることには、進学や就職に進んだ場合でも効いてくる価値があります。

「熱量」は教えて身につくものではない

経営の現場を見てきて痛感するのは、事業を前に進める一番の燃料は、才能でも資金でもなく「これをやりたい」という本人の熱量だということです。これは大人が与えて身につくものではありません。お子さんがいま自発的にその熱を持っているなら、それを冷ましてしまうのはもったいない。高卒認定を経て事業を始めた10代の実例は、高卒認定から起業した10代のリアルで紹介しています。

ただし「収益化」を急がせない

一方で、注意点もあります。10代の事業は、すぐに大きく稼げるものではないケースがほとんどです。「儲かっているか」を早々に問い詰めると、本人は挑戦そのものを萎縮させてしまいます。最初の目的は稼ぐことではなく、作って・出して・反応をもらうという一連の経験を積むこと。金銭や契約が絡む場面では大人の確認が必要になるので、そこは家庭で一緒に見てあげてください。

親が心配する「学業はどうなる」への現実的な答え

保護者の方が最も気にされるのが、この点だと思います。「事業に夢中になって、勉強も進学もおろそかになるのでは」——もっともな不安です。ですが、事業と学びは二者択一ではありません。むしろ両立させることで、進路の選択肢を残したまま挑戦を続けられます。

その現実的な手段が高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)です。高卒認定を取得しておけば大学受験資格が得られ、将来お子さんが「やっぱり進学したい」と思ったときに道が閉じません。高卒認定は科目合格制で、一度合格した科目は次回以降も有効なので、事業の合間に少しずつ積み上げていくという進め方ができます。文部科学省が実施する国の試験であり、学校に毎日通うことを前提としない点も、事業に取り組む10代と相性が良い制度です。

「高卒認定は学歴として不利にならないのか」「大学進学に本当に使えるのか」——こうした保護者の疑問には、高卒認定の真実|保護者が知るべきメリットと誤解で詳しくお答えしています。誤解されがちな制度ですが、正しく理解すれば「挑戦しながら進学の保険もかけておく」という賢い選択肢になります。

大切なのは、いま進路を一つに絞り込むことではなく、動きながら選び直せる状態を保つことです。事業が本格化しても、進学に舵を切っても、どちらにも進めるように土台を残しておく。それが、10代の挑戦を支える最も現実的な戦略です。

応援と放任は違う——親にできる4つの関わり方

「本人の挑戦を尊重する」と「すべて本人任せにする」は、まったく別のことです。10代が一人で事業と学びの両方を設計し続けるのは、経験の少なさゆえに負担が大きい。ここでは、保護者が過干渉にも放任にもならずにできる関わり方を4つに整理します。

①まず話を最後まで聞く。「何をやりたいのか」「なぜやりたいのか」を、評価や結論を挟まずに聞ききることが出発点です。頭ごなしの否定は、本人が相談してくれる関係そのものを閉ざしてしまいます。

②お金と安全のルールだけは家庭で決める。自由に挑戦させつつ、金銭の扱い・契約・個人情報など、トラブルになりやすい部分は保護者が確認する。ここは「口を出す」のではなく「一緒に守る」という姿勢が大切です。

③進路の選択肢を残す仕組みを一緒に用意する。前述の高卒認定のように、進学の道を閉じない準備を親子で共有しておく。これがあると、保護者も安心して挑戦を見守れます。

④結果ではなく過程を評価する。「儲かったか」ではなく「最後までやり切ったか」「どう工夫したか」に目を向ける。この視点は、事業の成否にかかわらずお子さんの財産になります。不登校の時間を事業づくりに変えた例は、不登校から起業へ|学校に行かない時間を武器にする方法も参考になります。

一人で判断しないために——家庭の外に相談相手を

正直にお伝えすると、お子さんの挑戦を支えるうえで、保護者だけがすべてを抱え込む必要はありません。事業の始め方も、進路の残し方も、家庭の中だけで判断しようとすると、どうしても不安と情報不足がつきまといます。これは能力の問題ではなく、「事業と進路の両方を見られる相談相手が身近にいるか」という環境の問題です。

CLC(Core Learning Community)が「学校に行かない選択」や「事業に挑戦する選択」を否定しないのは、その選択が悪いのではなく、選んだあとの時間を一緒に設計する相手がいないことこそが本当の課題だと考えているからです。だからこそ、現役の起業家やビジネスパーソンが伴走し、お子さん一人ひとりの興味から出発して、学習も事業もオーダーメイドで組み立てます。起業に本気で向き合う10代の実践はCLC起業コースで支えています。

お子さんの「起業したい」は、進路の終わりではなく、自分の人生を自分で動かし始めた合図かもしれません。その一歩を、選択肢を狭めずに支えられるかどうかは、周りの大人の関わり方にかかっています。反対か賛成かで迷う前に、まずは「どう支えれば、この子の挑戦も進路も守れるか」という視点に立ってみてください。

「うちの子の場合はどう考えればいいのか」——そう思われたら、一度ご相談ください。LINEの無料相談では、保護者の方だけのご相談も歓迎しています。お問い合わせフォームよくある質問もあわせてご覧ください。挑戦と進路は、両立できます。

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