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岡松 珠美(Tamami Okamatsu)
Career Mentor|行政書士・起業支援・法務

「このままだと進級は難しいかもしれません」。2学期の面談で担任の先生からそう言われて、頭が真っ白になった——そんな状態でこのページを開いた高校生、あるいは保護者の方がいると思います。

Core Learning Community で Career Mentor をしている岡松珠美です。ふだんは行政書士として、制度と書類を読み解く仕事をしています。その視点でお伝えしたいのは、留年の話は感情の問題に見えて、実際には数字と締切の問題だということです。数字は確認できますし、締切には順番があります。

この記事では、進級の判定がどう決まるのかを整理したうえで、いまの高校で進級を目指す道、転学する道、高卒認定に切り替える道——3つの分かれ道を同じ物差しで並べます。

「留年しそう」の正体は、たいてい3つのどれか

まず押さえておきたいのは、進級・卒業の基準は国が一律に定めているものではなく、各高校が学則(校内規程)で決めているという点です。だから「何日休んだらアウト」という全国共通の数字は存在しません。同じ県内でも運用は違います。ネットで見つけた他校の基準に怯えている生徒を、何度も見てきました。

そのうえで、進級が危うくなる理由は、おおむね次の3つに分かれます。

ひとつ目は「欠課時数」。多くの高校では、各科目の年間授業時数のうち一定割合(3分の1や4分の1を目安とする学校が多い)を超えて欠課すると、その科目の単位が認定されない運用になっています。大事なのは、欠課時数は「日数」ではなく「科目ごとの時間数」で数えるということ。週2時間しかない科目は、休んだ日が数日でも致命傷になりえます。

ふたつ目は「成績(評定)」。定期考査の点数が基準に届かず、単位が認定されないケースです。多くの学校には補習や再試(追認考査・単位認定試験などと呼ばれます)の仕組みがあり、ここは巻き返しの余地が比較的大きい部分です。

みっつ目は「未提出」。課題・レポート・実技の未提出が積み重なって評価が付かない、というパターン。地味ですが、面談で判明する理由としてはかなり多い。そして、3つのうちいちばん短期間で取り返しやすいのもここです。

どれに当てはまるかで、打つ手はまったく変わります。ここを特定しないまま「やめるか続けるか」を議論するのが、いちばん危ない進め方です。

まず学校に確認したい4つの数字

判断の前に必要なのは、意見ではなく事実です。担任・学年主任との面談を申し込んで、次の4つを聞いてください。可能なら口頭ではなく紙かデータでもらうと、あとで家族と共有できます。

1. 科目ごとの現在の欠課時数と、上限までの残り。「あと何時間休めるのか」が科目単位で分かると、対策の優先順位が一気にはっきりします。

2. 進級・単位認定の基準そのもの。学則や生徒手帳に書かれた条件です。「救済措置はあるか」「補習や追認考査の対象になる条件は何か」まで確認します。

3. 判定が確定する時期。多くの学校では学年末の職員会議で決まりますが、その前に「ここを過ぎたら数字上どうやっても届かない」という実質的なデッドラインがあります。この日付を知っているかで、動ける幅がまったく違います。

4. 年度途中で転学する場合、どの科目の単位が持ち越せるか。後述する道Bのための情報で、早く聞くほど選択肢が残ります。

体調や心理的な理由で登校が難しい状態が続いているなら、欠席の扱いそのものを相談できる余地がある場合もあります。学校との話し方の参考には不登校の「出席扱い」制度|申請の流れと、その先の進路を。なお体調不良が背景にある場合は、まず医療機関への相談を優先してください。診断や配慮の記録が、話し合いで意味を持つケースもあります。

道A:いまの高校で進級を取りにいく

数字を確認した結果、まだ届く範囲にあるなら、これがいちばん素直な選択です。友人関係も学籍もそのまま維持できますし、「一度崖っぷちまで行って戻ってきた」という経験自体が、後から効いてくるのを私は何度も見ています。

この道を選ぶコツは、気合いではなく設計で押し切ることです。①欠課の残りが少ない科目から順に「絶対に出る時間」をカレンダーに固定する、②未提出課題を「単位に直結する順」に並べ替える、③補習・追認考査の日程を先に押さえる。この3つを紙に落とすだけで、やることは劇的に減ります。

一方で、「留年の回避」自体が目的になると、翌年また同じ場所に戻ってくるケースもあります。登校がつらい理由が人間関係でも成績でもなく「時間の使い方」——やりたいことがあるのに平日の日中がまるごと拘束される——にあるなら、進級してもその感覚は消えません。そのときは道Bか道Cを、逃げではなく設計として検討する価値があります。

なお、就学支援金のような支援制度は支給期間に上限が設けられていることがあり、在学期間が延びると扱いが変わる可能性があります。制度は年度ごとに見直されるため金額や条件は断定しませんが、家計に直結する部分です。該当しそうなら、学校の事務室と自治体の窓口の両方に確認してください。

道B:転学する/道C:高卒認定に切り替える

数字が届かないと分かったとき、多くの家庭は「留年か、退学か」の二択で考えてしまいます。実際にはその間に、少なくとも2本の道があります。

道B:転学して、取った単位を持ち越す

在籍したまま別の高校に移るのが転入(転学)です。最大の利点は、これまでに修得した単位を引き継げる可能性があること。とくに通信制高校は年度途中の受け入れに比較的柔軟で、「途中まで通った時間」が無駄になりません。転入と編入の違いは高校を転校したい君へ|転入・編入と高卒認定を比べるで詳しく整理しています。

注意点は、退学してからでは「転入」ではなく「編入」になり、学籍に空白が生まれること。空白は後から埋められません。だからこそ、やめる決断より先に、移り先を探す順番が大切です。

道C:高卒認定に切り替える

高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)は、合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られる、文部科学省の実施する試験です。年度末までに満16歳以上になる人が受験でき、例年8月と11月の年2回実施されます。

ここで多くの人が知らない事実がひとつ。高校で修得済みの単位があると、対応する試験科目が免除される仕組みがあります。進級できなかったとしても、それまで取った単位は高卒認定側で効いてくる可能性がある。詳細は高卒認定の科目免除とは?保護者が知っておきたい仕組みに。「1年間、無駄だった」は、制度上、正確な言い方ではないのです。

そしてこの道の本質的な価値は、時間です。卒業までの単位を積み上げていく通信制に対し、高卒認定は必要な科目を取り切ればそこで終わり。空いた時間を大学受験に全振りすることも、自分の企画や事業に使うこともできます。CLCで進学コースを選ぶ生徒は総合型選抜や一般入試から逆算した計画を組み、起業コースを選ぶ生徒は現役の起業家・ビジネスパーソンの伴走を受けながら、実際に世に出すところまで進めます。通信制高校では実現しにくい時間の自由を、空白ではなく実績に変える——これが高卒認定ルートの狙いどころです。

ただし、いい面だけではありません。高卒認定は「高校卒業」そのものではなく、最終学歴の扱いが変わります。学校行事も、日常的に会う同級生もなくなる。向き不向きははっきり分かれます。判断材料に高卒認定のメリット・デメリット|大学進学の視点でを、退学を視野に入れているなら高校中退その後の進路|後悔しない再設計4ステップにも目を通してください。

9月に動くと、選択肢はまだ3つ残る

最後に、時期の話をします。2学期の入口であるいまは、3つの道がすべて生きている、数少ないタイミングです。

道Aは、欠課の残り時数がまだあるうちなら現実的に取りにいけます。道Bの転学は、年度内の受け入れ枠を探す時間が要るので早いほど選べる学校が多い。道Cの高卒認定は、11月試験の出願が例年9月上旬あたりに締め切られるため、いま情報を取りに行けば今年度中にもう一度チャンスを掴める可能性があります(出願期間は年によって変わるので、必ず文部科学省の最新の実施要項を確認してください)。組み立て方は高卒認定11月試験まで|2ヶ月半の勉強計画にまとめてあります。

逆に言えば、「とりあえず学年末まで様子を見る」がいちばん選択肢を減らすということです。年度末まで待つと、残るのは「留年」か「編入」の二択になりがちです。

保護者の方へ。この局面で最初にかける言葉は、事実確認より前に「進級できなくても、道はなくならない」でいいと思います。留年しそうな状況にある子は、たいてい自分をもう十分に責めています。大人が引き受けるべきなのは、数字を確認する役と、締切を管理する役です。声のかけ方に迷ったら子どもが「学校をやめたい」と言ったとき、親にできることが参考になります。

Core Learning Community は、学校に行かない選択を、まず肯定するところから始めます。そのうえで、進級・転学・高卒認定のどれが本人に合うのかを、学習計画と出口の設計まで含めてオーダーメイドで組み立てます。中学生・高校生一人ひとりで、持っている単位も、残っている時間も、やりたいことも違うからです。

「進級が危ないと言われたけど、何から確認すればいいか分からない」——その一文で十分です。LINEの無料相談に、学年・言われた内容・一番不安なことの3点を書いて送ってください。提供内容はサービス紹介、費用や進め方はよくある質問、個別のご相談はお問い合わせからどうぞ。

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