「通信制高校にして、良かったですか?」
通信制高校を検討しはじめた保護者の方が最終的にいちばん知りたいのは、制度の説明でもパンフレットの実績でもなく、「実際に選んだ家庭は、その後どう感じているのか」という一点ではないでしょうか。学校説明会では当然ながら良い面が中心に語られるため、その先にある本音は見えにくいままです。
私自身、全日制高校に進学したあと体調不良をきっかけに通信制高校へ転入した経験があります。当時の私は自分のことで精一杯でしたが、あとから振り返ると、いちばん揺れていたのは親のほうだったと分かります。「この選択で本当に良かったのか」「甘やかしているのではないか」——口には出さないまま、その問いをずっと抱えていたはずです。
いまはCLCのメンターとして、通信制を選んだご家庭とも、選んだあとに迷いが出たご家庭とも接しています。この記事では、そこで伺ってきた満足の声と後悔の声を脚色せずに整理し、両者を分けているたった一つの分岐点をお伝えします。
満足している親の本音|「子どもの表情が戻った」
まず、通信制高校を選んで良かったと語る保護者の声から。ここで挙がる内容は、進学実績や学費といった数字の話ではありません。ほとんどが子どもの状態そのものについてです。
もっとも多いのが、「朝、子どもの表情が変わった」という声です。全日制に通えなくなっていた時期は、朝が来るたびに家の空気が張りつめていた。通信制に移ってその緊張がなくなり、久しぶりに笑って話すようになった——。起立性調節障害など、本人の意思ではどうにもならない事情を抱えていた場合、この変化は非常に大きな意味を持ちます。
次に多いのが、「親子の関係が壊れずに済んだ」という声です。無理に通わせ続ければ、親は毎朝せかす役になり、子どもは責められる役になります。その構図から降りられたことを、あとから価値だと感じる方は少なくありません。関わり方に迷いがある方には不登校の子への親の接し方もあわせてお読みいただければと思います。
三つめが、「学校以外にも道があると、家族が知れた」という声です。全日制以外を選んだ経験そのものが、その後の進路を考える視野を広げてくれたという感覚です。通信制高校が「逃げ」ではなく「合理的な選択肢」だと家族が実感できたご家庭ほど、満足度は高い傾向にあります。
後悔している親の本音|「入れて終わりにしてしまった」
一方で、率直な後悔を口にされる保護者もいます。ただし、その中身は多くの方の予想とは少し違います。「通信制を選んだこと自体を後悔している」という声は、実はほとんど聞きません。後悔が語られるのは、決まってそのあとについてです。
最頻出は、「入学させたところで、安心してしまった」という声です。学校に行けない状態が解消され、卒業の見通しも立った。そこで一区切りついた気持ちになり、気づけば1年が過ぎていた——という流れです。通信制高校のレポート学習は、うまくやれば短時間で終わります。問題は、その結果として生まれた大量の自由時間が、そのまま手つかずで残ってしまうことです。
次に多いのが、「学習の空白が思ったより深かった」という声です。卒業要件を満たすことと、大学受験に必要な学力を積むことは、まったくの別物です。卒業できる見込みがあるからと安心していたら、進学を考えはじめた時点で基礎に戻る必要があった、というケースがあります。卒業資格と学力は、自動的にはつながりません。
三つめが、「同じ立場の人と話す機会が想像以上に少なかった」という声です。通学頻度の低いコースほど、本人が家の中だけで過ごす時間は長くなります。これは通信制の欠陥ではなく構造上そうなりやすいというだけで、家庭の外に居場所を用意できたかどうかで、その後が変わります。
分かれ目は「空いた時間を誰が設計したか」
ここまでの声を並べると、後悔と満足を分けるものが見えてきます。学校の知名度でも学費でもなく、通信制を選んだことで生まれた「空いた時間」を、誰かが一緒に設計できたかどうか——ほぼこの一点です。
通信制高校が家庭にもたらす最大の資産は、卒業資格そのものよりも時間です。全日制の同級生が授業と部活で1日を使い切っているあいだ、お子さんの手元にはまとまった時間が残ります。この時間が受験勉強・探究活動・アルバイト・小さな事業などに向かえば、それは他のルートでは手に入らない強みになります。逆に何にも向かわなければ、ただの空白として積み上がります。
そして、ここが大切なのですが、この設計を本人ひとりに任せるのは、率直に言って無理があります。16歳や17歳の時点で、自分の将来から逆算して1日の使い道を決められる人は、そう多くありません。私自身もできませんでした。かといって、親が代わりに決めれば反発を招きます。必要なのは、決める人でも見張る人でもない、第三者の伴走者です。
CLCが「学校に行かない選択」そのものを否定しないのは、この考えに立っているからです。現役の起業家・ビジネスパーソンや受験指導のメンターが、お子さん一人ひとりの興味から出発して時間の使い道を一緒に設計します。大学進学を見据えるご家庭にはCLC進学コース、事業や表現に熱を持つお子さんにはCLC起業コースという形で、オーダーメイドに進路を組み立てます。
通信制が合わなかったときに、まだ残されている道
すでに在籍していて「この子には合っていないかもしれない」と感じている保護者の方もいらっしゃると思います。お伝えしたいのは、それは選択の失敗ではなく、情報が一つ増えただけだということです。合わないと分かったからこそ、次の判断ができます。
実際の選択肢としては、コースや学校の変更のほか、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)へ切り替える道があります。文部科学省が実施する試験で、合格すれば大学受験資格が得られ、通信制のレポートに費やしていた時間をそのまま進路づくりに回せます。制度の比較は通信制高校と高卒認定どちらを選ぶ?と高卒認定の真実|保護者が知るべきメリットと誤解で整理しています。いま在籍中で迷いがある方には、通信制高校が合わないと感じたら|次の進路4つの選択肢が具体的な判断材料になるはずです。
ただし、どの制度を選ぶかは本来あとの話です。先に決めるべきなのは、お子さんが何に時間を使いたいかのほう。制度はそれを実現する道具にすぎません。順番を逆にしないことが、後悔しないための近道だと考えています。
「うちの子の場合はどうだろう」と少しでも思われたら、一度ご相談ください。LINEの無料相談では、進路の方向がまだ定まっていない段階のご相談も歓迎しています。お問い合わせフォームやよくある質問、CLCの支援内容をまとめたサービス紹介もあわせてご覧ください。通信制を選んだ時間を、後悔ではなく資産に変えていきましょう。