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楊 品昭(Hideaki Yang)
Academic Mentor|難関大対策・学習戦略

夏休みが終わり、教室の空気が変わる。友達は志望校の話をしていて、担任からは進路希望調査の再提出を求められる。それなのに、自分だけまだ何も決まっていない。——高3の8月末から9月にかけて、いちばん多く届く相談がこれです。

私は Core Learning Community で難関大志望の生徒を中心に学習戦略を担当しています。毎年この時期になると、成績の相談よりも「そもそもどこを目指せばいいのかわからない」という相談のほうが増えます。先に結論を書きます。高3の秋に進路が決まっていないことは、致命傷ではありません。ただし、決まらない状態のまま時間だけを流すと、選択肢は月単位で確実に減っていきます。減る前に、いまある選択肢を全部並べておきましょう。

「進路が決まらない」の正体は、情報不足ではない

まず、原因の切り分けから始めます。進路が決まらないと言う人の多くは、情報が足りないのだと思っています。オープンキャンパスに行けば、パンフレットを読み込めば、学部の違いを調べれば決まるはずだ、と。

けれど私の指導経験では、そこで止まっている人はほとんどいません。むしろ調べすぎている。学部紹介も就職実績も一通り見た。それでも決まらない。なぜかというと、足りていないのは情報ではなく比べるための基準だからです。

基準がないまま候補だけが増えると、人は選べません。A大学とB大学、どちらが「良い」かは、何を大事にするかを決めない限り永遠に答えが出ないからです。偏差値という他人がつくった基準に頼りたくなるのは、自前の基準がないときの自然な反応でもあります。

だからこの記事では、「どこに行くべきか」ではなく「どの締切までに、何を基準に決めるか」から扱います。順番を逆にすると、秋はあっという間に終わります。やりたいことが見えないという段階でつまずいている人は、「やりたいことがない」高校生へ|進路を見つける3ステップを先に読んでおくと、この先が読みやすくなります。

高3の秋、いま動かせる4つの選択肢

8月末の時点で、高3が現実的に選べる道は大きく4つあります。まず全部を机の上に並べます。

選択肢1:一般選抜で大学へ

最も人数が多く、そしていちばん「決めるのを先延ばしにできる」ルートです。共通テストは例年1月中旬、私立の一般入試は1月下旬から2月にかけて行われます。出願はおおむね年内から年明けなので、志望校を最終決定するまでにまだ数か月あります。

ここで大事なのは、志望校が決まっていなくても受験科目はほぼ決められるという点です。英語と、国語または数学。この2〜3科目は文系・理系のどちらに転んでも使います。決まらないことを勉強しない理由にしないでください。

選択肢2:総合型選抜・学校推薦型選抜

学力試験の点数だけでなく、活動歴・志望理由・面接などで評価される入試です。国の実施要項では、総合型選抜の出願は例年9月以降、合格発表は11月以降。学校推薦型選抜は出願が11月以降、合格発表は12月以降とされています。つまり総合型選抜は、まさにいまが出願シーズンです。

「実績がないから無理」と思う人が多いのですが、評価されるのは大会の賞状よりも、関心が一貫していて、それを言葉にできるかどうかであることが少なくありません。準備の進め方は総合型選抜の始め方|高2から動く受験戦略5ステップ、実績のつくり方は高卒認定から総合型選抜で大学へ|実績のつくり方にまとめています。

選択肢3:専門学校・短大・海外の大学

4年制大学だけが進学ではありません。専門学校は分野が具体的に決まっている人には強い選択肢ですし、逆に分野が決まっていない人には向きません。ここは正直に言っておきます。

もう一つ、意外と見落とされているのが海外の大学です。多くの国では9月入学が基本で、出願は前年の秋から冬。国や大学によって高校卒業の扱いや必要書類は変わるため一律には言えませんが、日本の一般選抜とはまったく別の時間軸で動くため、日本の受験がうまくいかなかった場合の第二ルートになり得ます。実際の進み方は16歳で高卒認定→17歳で海外進学する道で具体的に扱いました。

選択肢4:いったん立ち止まる

そして4つめ。この春に進学しない、という選択です。浪人、留学準備、事業の立ち上げ、働きながら考える——形はいろいろあります。

Core Learning Community が「学校に行かない選択」を否定しないのは、この4つめを最初から候補から外してしまう人が多いからです。ただし条件が一つあります。立ち止まるなら、その期間に何をするかを具体名で決めること。「少し考える」だけの1年は、驚くほど速く溶けます。

「まだ間に合う」と「もう遅い」を分ける締切の話

4つ並べたところで、次は時間軸です。ここが今回いちばん実務的な部分になります。

進路が決まらない人がいちばん損をするのは、「決められない」と「締切が過ぎる」が同時に起きるときです。逆に言えば、締切さえ押さえておけば、決断そのものはギリギリまで引き延ばせます。

秋以降にやってくる主な締切を、時系列で並べておきます。年度や大学によって前後するので、必ず募集要項で確認してください。

9月:総合型選抜の出願が始まる大学が多い。高卒認定の第2回試験(例年11月実施)の出願も例年この時期。10月:共通テストの出願締切。ここは全国一律で、過ぎたら共通テストは受けられません11月:学校推薦型選抜の出願、総合型選抜の合格発表。12月〜1月:私立の一般入試出願、共通テスト本番。

この中で、取り返しがつかないのは10月の共通テスト出願だけだと思っておいてください。ここさえ出しておけば、国公立も、共通テスト利用の私立も、選択肢として生きたまま冬を迎えられます。迷っているなら出す。受けないことは後から選べますが、出願しなかった事実は後から変えられません。

もし在籍している高校を続けること自体に迷いがあるなら、締切の構造はもう少し複雑になります。その場合は高校中退その後の進路|後悔しない再設計4ステップもあわせて読んでみてください。

決まらないまま勉強を進めるときの学習戦略

「志望校が決まってから本気を出す」——毎年、この言葉で秋を失う人がいます。学習戦略の担当として、はっきり言っておきます。志望校が決まる前にやるべきことは、すでに大量にあります。

やり方はシンプルです。どの進路に転んでも使う科目から潰す。具体的には英語。文系でも理系でも、総合型選抜でも一般選抜でも、そして海外進学でも使います。次に国語か数学。この2〜3科目に秋の学習時間の大半を投じておけば、志望校が11月に決まっても12月に決まっても、その時点から出遅れません。

逆に避けたいのが、候補校の入試科目をすべてカバーしようとすることです。私立3校の個別科目まで並行して手を出すと、どれも仕上がりません。決まっていない時期こそ、科目は絞る。これは「捨てる」のではなく「後ろに回す」判断です。

もう一つ。総合型選抜を候補に残すなら、志望理由書の下書きを一度書いてみることを強くすすめます。これは受験対策であると同時に、自己分析の道具として非常に優秀です。書けない箇所が、そのまま「自分がまだ言葉にできていないこと」を示してくれます。私の指導では、進路が決まらない生徒にこの作業を先にやってもらうことが多いのですが、書き終える頃には志望の輪郭が見えているケースが少なくありません。

学習の組み立て方そのものについては高卒認定から大学受験へ|合格する勉強法と時間戦略で、時間の逆算の考え方を詳しく書いています。大学進学を軸に据えるなら、CLCの進学コースでは志望校が固まる前の段階から、科目の優先順位と週単位の計画を一緒に組み立てています。

決めるための3つの問いと、相談相手のつくり方

最後に、基準のつくり方に戻ります。冒頭で「足りないのは情報ではなく基準だ」と書きました。基準は、次の3つの問いで輪郭が出ます。

問い1:時間を忘れて続けられたことは何か。成果ではなく、没頭した経験を思い出してください。ゲームでも、動画編集でも、誰かの相談に乗ることでも構いません。問い2:どういう状態が耐えられないか。やりたいことより、避けたいことのほうがはっきりしている人は多い。人前に立ち続けるのが無理、毎日同じ作業が無理——これも立派な基準です。問い3:4年後に、どんな一日を送っていたいか。職業名ではなく、一日の過ごし方で考えます。

この3つを紙に書き出すだけでも、候補校の並びは変わります。偏差値以外の軸が一本入るからです。好きなことを進路の軸にする考え方は熱狂できる進路の見つけ方|好きを仕事にする高校生へでも扱っています。

そしてもう一つ。この作業は、一人でやると精度が落ちます。自分の言葉に突っ込みを入れてくれる相手がいるかどうかで、出てくる答えの解像度がまったく変わるからです。ただ、その相手が親や担任だと難しいこともあります。親には心配をかけたくない、担任には現実的な進路しか言えない——その気持ちはよくわかります。だからこそ、利害関係のない第三者を一人つくっておくことを、私はいつもすすめています。

Core Learning Community が進路コーチングを学習指導と分けているのは、この「決めるための対話」に独立した時間が必要だと考えているからです。大学進学を目指すなら進学コース、自分で何かを立ち上げる方向に関心があるなら起業コースで、現役の起業家やビジネスパーソンが伴走します。進路は、決めてから動くものではなく、動きながら決まっていくもの——4年以上この仕事をしていて、これだけは確信しています。

「高3なのに何も決まっていない」——その一文だけで構いません。LINEの無料相談に、学年・いま考えている候補(なければ「なし」で大丈夫です)・気になっていることの3点を書いて送ってください。まだ何も決まっていない段階の相談こそ歓迎しています。提供している内容はサービス紹介、費用や進め方はよくある質問、個別のご相談はお問い合わせからどうぞ。

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