ニュース一覧に戻る
岡
岡松 珠美(Tamami Okamatsu)
Career Mentor|行政書士・起業支援・法務

「もう高校には戻らない」。子どもがそう決めて、親も腹をくくった。ところが次に出てくるのは、「で、何をすればいいの?」という実務の問いです。退学届はどう書くのか、学校に何をもらっておくべきか、支援金や児童手当はどうなるのか。学校側は退学の手続きには慣れていても、「辞めたあとの進路」まで見据えた案内をしてくれるとは限りません。

Core Learning Community で Career Mentor を務める岡松珠美です。行政書士として、「手続きの抜け漏れが後から効いてくる」場面を数多く見てきました。高校の退学も同じで、辞めること自体より、辞める前に何を手元に残しておくかで、その後の進路の選択肢が変わります。この記事では、保護者が退学届を出す前に確認したい7つのことを、順番に整理します。「辞めたい」と言われた直後の受け止め方は、子どもが「学校をやめたい」と言ったら|親の受け止め方にまとめています。

退学届を出す前に、学校へ確認する3つのこと

①現時点の欠課時数と、単位認定の見込み。高校の単位は、各科目の授業時数のうち一定割合以上(多くの学校で3分の1前後)を欠席すると認定されません。「今の欠課時数で、年度末に認定される科目はいくつあるか」を担任か教務の先生に数字で確認してください。この数字が、科目免除と辞める時期の判断の土台になります。

②退学ではなく休学という選択肢があるか。退学すると学籍はなくなりますが、休学なら在籍したまま学校を離れられます。期間や手続きは学校の規定によりますが、「今は決めきれない」段階なら、まず休学で時間を確保する家庭も少なくありません。違いの整理は高校を休学するという選択|退学との違いと4つの進路にまとまっています。

③退学の手続きの流れと、必要書類。一般的には、生徒本人と保護者が連署した退学願(退学届)を提出し、校長が許可するという流れです。書式は学校指定のものがあるため、「退学を考えている。書類と流れを教えてほしい」と先に伝えておくと、面談の場で手続きが止まりません。

この3つはどれも電話一本で聞ける内容ですが、口頭で聞いた数字は日付とともにメモに残してください。後で「言った・言わない」にならないためです。

「単位修得証明書」は高卒認定の科目免除に直結する

④退学時に「単位修得証明書」を発行してもらう。7つの中で、これだけは必ず覚えて帰ってください。

高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)は文部科学省が実施する国の試験で、合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。試験科目は8〜10科目ありますが、高校で単位を修得した科目は、学校が発行する「単位修得証明書」を出願時に添えることで受験が免除されます。高1の年度末まで在籍して国語・英語・数学などの単位が認定されていれば、その分だけ受けなくてよい科目が増えます。

証明書は退学後でも学校に申請すれば発行してもらえるのが通常ですが、年数が経つと担当者が変わり、手続きに時間がかかることがあります。退学の手続きの際に「高卒認定の出願に使うので、単位修得証明書を発行してほしい」と伝えておくのがいちばん確実です。免除の仕組みと申請の流れは、高卒認定の科目免除|高校の単位で受験科目を減らす方法に詳しくまとめています。

もう一つ、⑤在学中の成績証明書・調査書の扱いも確認しておきましょう。高卒認定の出願には不要ですが、通信制高校へ編入する場合に求められることがあります。「どの書類が、退学後いつまで発行できるか」を一覧で聞いておくと安心です。

お金の手続き:就学支援金・奨学給付金・児童手当・扶養

⑥お金の制度は「止まるもの」と「続くもの」に分けて確認する。変わるものと変わらないものを混同して、必要以上に不安になる保護者が多い項目です。

まず、止まるもの。高等学校等就学支援金は在学していることが前提の制度なので、退学した月以降は支給されません。低所得世帯向けの高校生等奨学給付金も在学が要件です。通学定期券や学割証は在籍を失った時点で使えなくなり、学校が窓口の奨学金があれば取り扱いを個別に確認しましょう。

次に、続くもの。児童手当は2024年10月の制度改正で、高校生年代(18歳になった後の最初の3月31日まで)が支給対象になりました。在学を要件としていないため、退学しても対象年齢のあいだは原則として続きます。所得税の扶養控除(16歳以上)や健康保険の被扶養者の扱いも、通学の有無とは関係ありません。「辞めたら扶養から外れる」ということはなく、子どもが働いて一定以上の収入を得るまでは基本的に今までどおりです。

制度の細部は年度や自治体で変わるため、ここに書いたことは「確認するための地図」として使い、最終的には学校の事務室と市区町村の窓口で確かめてください。退学後のルートごとの費用感は、高校3年間の学費比較|通信制・全日制・高卒認定が参考になります。

辞める時期で変わること。年度末まで在籍するか、今すぐか

⑦辞める日付を、感情ではなく制度で決める。これが最後の確認事項です。

高校の単位は、原則として年度末(学年の修了時)に認定されます。つまり、10月に退学すれば高1の単位は一つも残らず、翌3月まで在籍して認定を受けてから退学すれば、その科目の分だけ高卒認定の免除が使えます。二期制で前期分の単位が認定される学校もあるため、①で確認した「認定の見込み」と合わせて考えてください。

ただし、「年度末まで我慢して通え」という意味ではありません。すでに欠課時数が基準を超え、単位認定の見込みがない科目ばかりなら、在籍を続ける制度上のメリットは小さくなります。免除が見込める科目があるなら休学や在籍の継続を、見込みがないなら早めの退学を、という判断の分け方です。進級が危ない段階での数字の見方は、高校で留年しそう|進級・転学・高卒認定の判断で整理しています。

そして、何より子ども本人の状態です。登校を続けることで心身の調子を崩しているなら、免除科目が1つ2つ増えることより今日の安全を優先してください。高卒認定は年2回(例年8月と11月)実施され、免除がなくても計画的に学べば十分に届く範囲です。

退学の翌日から始まる進路設計

7つの確認を終えて退学届を出したら、そこからが本番です。主な道は、通信制高校への編入、高卒認定を経た大学・専門学校への進学、就職、起業や海外進学。どれが正解かは本人の「やりたいこと」と「今の状態」で決まります。選択肢の全体像は子どもが「高卒認定を取りたい」と言ったら|親の判断軸をご覧ください。

私たち Core Learning Community は、学校に行かない選択を肯定する立場で、高卒認定の学習から大学進学・起業までを伴走しています。通信制高校では得にくい時間の自由を本人の熱中に使えること、現役の起業家・ビジネスパーソンが伴走することが特徴です。保護者面談では、この記事の手続きの確認も一緒に進めます。進学を軸に考える方は進学コース、全体像はサービス紹介とよくある質問をご確認ください。

「退学届を出すべきか、まだ迷っている」という段階でも大丈夫です。LINEの無料相談に、学校から聞いた数字と今の状況を送ってください。手続きの順番から一緒に整理します。お問い合わせフォームからもご相談いただけます。

あわせて読みたい関連記事