「アイデアがない」のではなく、探し方を習っていないだけ
私はCore Learning Communityで、事業の立ち上げを担当するメンターをしています。自分自身も民泊をはじめ複数の事業を運営しながら、10代の最初の一歩に伴走しています。
面談で圧倒的に多い相談が、これです。
「起業には興味がある。でも、何をやればいいのか思いつかない」
この言葉のあとには、たいてい「自分にはセンスがないのかも」が続きます。でも、そこは切り分けたほうがいい。アイデアが出ないのは発想力の問題ではなく、探し方を一度も習っていないからです。学校に「事業アイデアの見つけ方」という単元はありません。
もうひとつ、「起業のアイデア=誰も思いついていない画期的な発明」だという誤解もあります。実際に回っている小さな事業のほとんどは発明ではなく、すでにある困りごとを「誰が」「いくらで」解決するかをずらしただけ。だから最初にやるのは、ひらめきを待つことではありません。探す場所を決めることです。
アイデアを見つける5つの型——不便・偏愛・代行・翻訳・場
アイデアは「思いつく」ものではなく「拾う」もの。拾う場所を5つに分けておくと、白紙から考えるより手が動きます。
型1:不便——自分がイラッとした瞬間を記録する
1週間、「面倒くさい」と感じた瞬間だけをスマホのメモに残す。1日3つで週21個。商売になるのはせいぜい1〜2個ですが、それはあなた自身が困った実感を持っているという強い根拠を伴います。想像で作った事業より、ずっと長持ちします。
型2:偏愛——人に呆れられるほど詳しいこと
ゲーム、鉄道、スニーカー、筋トレ、何でも構いません。「そんなに詳しくてどうするの」と言われた領域には、必ず情報の格差があります。まとめる・選んであげる・教える。どれも小さな商売になります。CLCが大事にする「熱狂」を進路にするという考え方は、ここに接続します(熱狂できることを進路にする方法)。
型3:代行——誰かが「やりたくない」ことを引き受ける
10代がいちばん始めやすい型です。動画の切り抜き編集、SNS運用、資料のデザイン。スキルの高さより「引き受けてくれること自体」に価値がある領域は想像以上に広い。最初の売上を代行で作った10代を、私は何人も見ています(実例は高卒認定から起業した10代のリアルへ)。
型4:翻訳——ある世界の常識を、別の世界へ持ち込む
若い世代では当たり前のツールやSNSの作法が、上の世代ではまったく当たり前ではない。逆もまた同じ。「こっちでは常識、あっちでは未知」という段差そのものが商品になります。地方と都市、日本と海外——段差はどこにでもあります。
型5:場——人が集まる理由をつくる
コミュニティ、イベント、オンラインの部活。私が関わってきた民泊も、突き詰めれば「場」の商売です。難易度はやや上がりますが、同じ悩みを持つ人が10人集まれば、そこにはもう需要があります。
5つ全部をやる必要はありません。読んでいていちばん具体的な顔が浮かんだ型を1つ選ぶ。それが今のあなたの入り口です。
思いついた後にやるのは、事業計画ではなく「1週間の検証」
ここが分かれ道です。アイデアが出た瞬間、多くの人は事業計画書を書き始めようとします。ロゴを考え、サービス名を決め、ホームページを作ろうとする。そして公開する前に力尽きる。順番が逆です。最初にやるべきは「それを本当に欲しい人が、この世に1人でもいるか」を確かめること。私はこれを1週間でやってもらいます。
1〜2日目:5人に聞く。「こういうの、あったら使う?」ではなく「最近それで困ったことある?」と過去を聞くのがコツです。未来の意向は当てになりませんが、過去の行動は事実だからです。
3〜4日目:いちばん小さい形を作る。アプリもサイトも要りません。1枚のメモ、1本の動画、1回のオンライン相談。「今日中に作れる大きさ」まで削るのが鉄則です。
5〜7日目:1人に届けて、対価をもらう。金額は数百円で構いません。ここが決定的に重要で、無料で喜ばれることと、お金を払ってでも欲しいことの間には深い川があります。100円でも払ってもらえたなら、立派な検証成功です。
この1週間で得たいのは売上ではなく判断材料です。反応が薄ければ型を変えてもう一度回せばいい。最初のアイデアがそのまま伸びるケースは多くなく、3回目、4回目で当たるほうが普通です。だからこそ1回のサイクルを軽くしておくことが効きます(全体像は高校生の起業の始め方——3ステップへ)。
なお、未成年がお金を受け取る段階では、契約や親権者の同意、確定申告といった論点があります。後で困らないよう、早めに未成年でも起業できる?法律とお金に目を通しておいてください。
検証を回せるかどうかは、才能ではなく「時間の形」で決まる
「やることは分かった。でも自分にできる気がしない」と感じた人へ。私の経験では、10代が続かない最大の理由は能力ではありません。時間の形です。
検証にまとまった時間は要りません。必要なのは平日の昼間に大人と連絡が取れること。取引先も相談相手も役所も、動いているのは平日の日中です。放課後の2時間と土日しか動けないと、1サイクルに1か月、3回試すのに3か月かかる。意欲より先に時間が尽きてしまう。
だから私たちは時間の設計そのものを進路の一部として扱います。高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)は文部科学省が実施する試験で、合格すれば大学受験資格が得られます。科目合格制で、一度に全科目そろえる必要がないのが特徴です。年2回の試験で必要な科目だけ減らしていけるため、平日の日中を自分の活動に充てられます。
これは通信制高校では実現しにくい種類の自由です。通信制にもレポートやスクーリングの枠があり、卒業までの3年間という時間軸は基本的に動きません。どちらが優れているかではなく、試行回数を増やしたい人には時間の自由度が決定的に効くということです(違いは全日制・通信制・高卒認定の比較へ)。大学進学の道を開いたまま事業を試せる——これが高卒認定ルートのいちばん現実的な強みです(合格後の使い方は高卒認定を取った後どうする?に)。
それでも手が止まるときに——保護者の方と、本人へ
まず保護者の方へ。お子さんが「起業したい」と言い出したとき、最初に浮かぶのは「本気なのか」という不安だと思います。ただ、そこで「で、いくら稼げるの?」と収支から入ると、対話はほぼ止まります。検証すら始めていない段階で数字を問われても、答えようがないからです。おすすめは「誰の、どんな困りごとを解決するの?」——本人が答えられる形に翻訳した問いです(具体例は子どもが「起業したい」と言ったらへ)。
そして本人へ。アイデアは、頭の中で完成させてから出すものではありません。雑な状態で外に出して、反応で削っていくものです。私自身、最初に立ち上げた事業は今の形とまるで違いました。動かしたから分かったことばかりです。
ただ、この「雑なまま出す」を一人でやるのは正直きつい。だから伴走者が要ります。Core Learning Communityでは現役の起業家・ビジネスパーソンがメンターとして週単位で伴走し、検証のサイクルを一緒に回します。事業を立ち上げたい人は起業コース、大学進学と両立させたい人は進学コース。一人ひとりオーダーメイドで設計します(サービス紹介/よくある質問)。
まずは5つの型から1つ選んで、今週メモを取り始めてみてください。それだけで、来週のあなたは今週より確実に多くの材料を持っています。一緒に考えたい方はLINEの無料相談へ、学年と「気になっている型の番号」だけ書いて送ってください。保護者の方だけのご相談も歓迎しています。個別のご相談はお問い合わせからもどうぞ。