「起業したい」と勇気を出して伝えたのに、返ってきたのは「そんなことより勉強しなさい」「うまくいくわけがない」。そこで話が終わり、それ以来、家では起業の話をしなくなった——高校生からの相談で、よく聞く流れです。
Core Learning Community で Career Mentor をしている小柳博之です。民泊をはじめ、いくつかの事業をゼロから立ち上げてきました。その立場から先にお伝えしたいのは、親の反対は「終わり」ではなく、あなたの事業の最初の関門だということです。事業を始めると、「まだあなたを信じていない人」に説明する場面が必ず来ます。いちばん身近な相手に伝わる形をつくることは、そのまま起業の練習です。説得の言葉を探す前にやっておきたい3つのことを、順に整理します。
親の反対は「起業そのもの」への反対とは限らない
1つ目は、反対の中身を知ることです。保護者の方と話していると、「起業という生き方そのものが嫌だ」という人は多くありません。多いのは、次の4つの心配です。
①学業。成績が落ちて、卒業や進学ができなくなるのではないか。
②お金。借金を抱えたり、家計に負担がかかったりするのではないか。
③安全。ネット上の取引でトラブルに巻き込まれたり、「簡単に稼げる」という話にだまされたりするのではないか。
④本気度。一時の思いつきで、すぐ飽きるのではないか。
「起業したい」という一言だけでは、親にはこの4つすべてが分からないままです。反対の多くは、あなたの夢の否定ではなく「分からないものへの不安」です。親の側から見た景色は、保護者向けの子どもが「起業したい」と言ったら|親の関わり方を読むとつかめます。
言葉で説得する前に「小さな実績」をつくる
やりがちなのが、成功した起業家の話を持ち出して言葉で言い負かそうとすることです。私はおすすめしません。親が知りたいのは「誰かが成功したか」ではなく、「あなたが続けられるか」だからです。いちばん効くのは、小さくても自分の手で作った事実です。
たとえば、動画編集なら知人の動画を1本仕上げる。イラストやデザインなら作品を10点そろえて見せられる形にする。物販を考えているなら、売りたい商品について身近な5人に「いくらなら買うか」を聞いて記録する。どれも元手はほとんどかかりません。まだやることが決まっていない人は、起業のアイデアがない10代へ|見つける5つの型から始めてください。
そして、やったことを記録に残します。いつ、何を作り、誰からどんな反応があったか。ノート1冊で十分です。3か月分の記録は、④の「本気度」への何よりの答えになります。進め方は高校生 起業の始め方——10代の小さなビジネス3ステップで紹介した手順と同じです。
なお、この段階ではお金を受け取る取引や契約までは進めず、「作る・見せる・反応をもらう」にとどめておくのが安全です。理由は次の章で説明します。
親に渡す「1枚の計画書」に書く5つのこと
実績ができたら、もう一度話す場をつくります。口頭だけでなく、紙1枚にまとめて渡すのがポイントです。書く項目は5つです。
1. 何を、誰に、いくらで提供するのか。「地元の飲食店に、SNS用の短い動画を1本◯円でつくる」のように、一文で言える形にします。
2. 使うお金の上限。「お小遣いと貯金の範囲で、最大◯円まで。借金はしない」と数字で書きます。②の不安に直接答える項目です。
3. 学業との約束。「定期テストの1週間前は作業を止める」「平日は◯時まで」など、自分で守れる線を自分で決めます。
4. 期限と見直しの時期。「まず3か月やって、結果を一緒に振り返る」。区切りのある挑戦として提案すると、親は「一度やらせてみる」と言いやすくなります。
5. 親に確認してほしい場面。契約を結ぶとき、口座や決済サービスに登録するとき、知らない大人と会うとき。ここは必ず相談する、と先に書いておきます。
5つ目は気づかいではなく、法律上も意味があります。18歳未満の未成年者が親(法定代理人)の同意なく結んだ契約は、原則として後から取り消せると民法で定められています。そのため、取引先や各種サービスの側が親の同意を求めるケースが多いのです。詳しくは未成年でも起業できる?中学生・高校生の法律とお金にまとまっています。親の同意は「邪魔な壁」ではなく、事業を成り立たせる条件の一つです。
それでも反対されたとき、避けること・できること
計画書を出しても、すぐに認めてもらえない家庭もあります。そのときに避けてほしいことが2つあります。
黙って始めること。親に隠して取引を始めると、トラブルが起きたときに誰にも相談できなくなります。見つかったときに失う信頼を取り戻すのにも、長い時間がかかります。
お金を借りること、「必ず稼げる」という話に乗ること。友人や先輩からの借金、高額な情報商材への支払いは、親の③の不安をそのまま現実にしてしまいます。
一方で、反対されていてもできることはあります。作品づくりやスキルの練習、簿記や会計の基礎の勉強。これらは誰の許可もいらない準備で、後から始める事業の土台になります。18歳になれば成年として自分の判断で契約できるようになりますが、そのときに差がつくのは、それまでに積んだ準備の量です。
もう一つは、家庭の外の大人に入ってもらうことです。学校の先生や、実際に事業をしている大人が間に入ると、「何が危なくて、何は大丈夫か」を具体的に話せるようになります。
「学業か起業か」の二択にしない進路の組み方
親の反対でいちばん根が深いのは、①の学業です。ここは、二択をやめることで解決の糸口が見えます。
全日制高校に通いながら放課後と週末で進める方法もあれば、通信制高校に移って時間をつくる方法もあります。そしてもう一つが、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)です。文部科学省が実施する国の試験で、満16歳以上なら受験でき、合格すれば大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。事業に時間を使いながら、進学の道は閉じない。親にとっても安心材料になります。大学に行くかどうかで迷っている人は、起業したい高校生は大学に行くべき?3ルート比較も参考にしてください。
ただし、高校を離れるのは大きな決断で、向き不向きがあります。勢いで決めず、家族と時間をかけて話し合ってください。
CLCは、学校に行かない選択を肯定する立場で、高卒認定の学習と進路づくりを支えています。通信制高校でも得にくい時間の自由を事業づくりに使えること、現役の起業家・ビジネスパーソンが伴走することが特徴です。保護者面談も行っているので、「家庭の外の大人」としても頼ってください。事業づくりを軸にしたい人は起業コース、サポートの全体像はサービス紹介をご覧ください。
「親に反対されて、どう話せばいいか分からない」という段階でも大丈夫です。LINEの無料相談に、やりたいことと親に言われたことをそのまま送ってください。計画書づくりから一緒に考えます。お問い合わせフォームからもご相談いただけます。